昨今の補助金制度について思うこと

2019年04月22日 / 最終更新日 : 2019年04月22日

こんにちは、中小企業診断士の山田盛史です。
私はこれまで、ものづくり補助金と持続化補助金を中心にご支援をしていましたが、今年はさらにIT導入補助金や事業承継補助金など幅広く支援や情報収集をしています。
今回はその中で感じたことです。


手続きの簡素化が進んでいる

まずは手続きの簡素化が進んでいるという点が顕著です。
特に今年はこの流れが加速したなという印象です。
補助金申請の簡素化というテーマは、前から言われていたことなので特段違和感はないのですが今年は前年より申請書類が少なくなり申請が楽になりました。

例えば、ものづくり補助金は登記簿の添付が不要になりました。またホームページがあれば会社概要を示す書類が不要になっています。
これだけでも申請者側の負担は減り、事業計画の立案により多くの時間を割けるようになったと思います。

また、IT導入補助金や事業承継補助金はWEB上の申請になっています。
今年の持続化補助金はまだ公募開始されていませんが、何かしら簡素化されることを期待したいです。


今後、この流れはどうなるか

今後も簡素化の流れは加速していく訳ですが、どのくらいのペースでどのように簡素化が進んでいくか、そのあたりが気になるところです。

この点について参議院決算委員会の省庁別審査において、世耕経産相は「スマホでちょいちょいと選択をすれば補助金手続きが完了する」ような形を目指すと明言しました。
2020年以降は補助金申請を全て電子化する予定で調整をしているそうです。

現行ではものづくり補助金はWEB上の申請と紙の申請の両方できるようになっていますが、WEB上の申請に統一するという事でしょうか。また、持続化補助金は紙の申請になっていますが同様にWEB上の申請になるのかもしれません。

申請作業が楽になれば、事業者様にとっては嬉しい限りだと思うのでこれは歓迎すべき事だと思います。


今後、変わっていくであろうKPI

一方で、昨今の経営環境を考慮すると、だんだん時代と合わなくなってくるなと思う点として雇用があげられます。

補助金は、その性質から事業計画の内容においていくつか重視される観点があります。

例えば、「国策と合致する事業内容かどうか」「新規性・革新性がある事業内容かどうか」「地域資源を活用した事業内容かどうか」「雇用を創出する事業内容かどうか」などが、その代表例です。

その中で雇用という観点は昨今の経営環境にそぐわないし、最近特に違和感を感じています。
今年は無くなりましたが、以前は「雇用をすると補助金審査において加点する」という内容がありました。

数年前は人的リソースを獲得する方法は、まずはフルタイムで働く正社員という手段があり、次に拘束時間が短い契約社員やアルバイトという方法を検討していました。

しかし、昨今は人材の流動性が高く、労働人口の減少も進んでいます。
さらに経営環境の変化も激しくなっています。

そのような変化に伴い、雇用という手段に限定せず外部人材を活用するという人的リソースの活用方法が増えてきています。

それぞれの人的リソースの活用方法をマトリックスにすると下図のようになります。

つまり、必ずしも雇用に執着する必要はなくクラウドソーシングを使ったり、個人事業主に外注するというのも有効な選択肢になってきています。
また、最近はSNS運用の代行サービスやバックオフィス業務の代行サービスなど、各種業務の代行サービスが増えています。

私が知っている会社でも1人社長で雇用をまったくせず、外部人材を活用して数億円のビジネスを展開している会社もあります。

フリーランスは年々増加しているし、リモートワークの環境も整備されてきているのでこの傾向はますます顕著になると思います。

このような傾向を考慮すると雇用することを重視するような制度はあまり実態になじまないと思います。
そろそろ雇用に変わる新しいKPIを設定すべきなのでは、と思うしだんだん変わってくる部分ではないかと思います。

簡素化も含めて2020年の補助金制度に注目ですね。


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