書評「なぜ倒産」

2018年10月19日 / 最終更新日 : 2019年01月27日

こんにちは、中小企業診断士の山田盛史です。

私は事業再生という分野のコンサルティングを行っており、
全体の仕事の中でも割合が高くなっています。

仕事柄、事業再生関係の本を読むことが多いのですがその中で
「なぜ倒産」という倒産にスポットを当てた本を読みました。
今回はその書評を書きます。


倒産の定石とは

再生事例をテーマにした書籍はよくあるのですが、倒産事例、
特に中小企業の倒産事例というのはあまり世に知られていないものです。

23の倒産事例から共通する倒産の定石をまとめると以下のようになります。
企業の各成長段階(成長期・成熟期)によって分けています。

①成長期:身の丈に合わない過剰な投資・収支管理の甘さ
②成熟期:過去の成功事例に囚われ変革が上手くいかない

成長期は事業が上手く言っているだけに慢心との戦いが重要といっても過言ではないと思います。設備投資は経営上必要ですが、重要なのはその金額が適切な範疇であるかどうかという点だと思います。
財務に見合った投資をしなければ経営は成り立ちません。

成長期は拡大傾向にあるので運転資金がより多く必要となり収支管理や資金管理の難易度も上がっていきます。そのような時に的確な財務的見地で判断する、もしくは判断できる人が社内外にいれば結果は違っていたのではないかと思いました。

次に、成熟期にある企業はそれなりに業歴を重ねており業歴があるが故に過去に市場の波に乗り順調に業績を上げてきたという成功体験を持っています。しかしその成功体験が社長や社員のマインドを縛り、変革を遅らせ市場の変化に上手く対応出来なくなり収益性の低下招くというケースです。実際には頭では分かっていても、先代が築いてきた事業モデルを大きく変革することに躊躇してしまう部分もあると思います。

考え方や価値観を変えるという事が一番難しい

大企業は再建にあたり経営陣が交代するというケースが多いですが中小企業では現経営者以外に適任がいないという現実があり現経営陣が続投して再建にあたるという事が多いものです。

上記のような過去の成功体験に依存せずに経営にあたるというのはこれまでの経営者の考え方や価値観を変えるという事でもありコンサルティングの中でこれが一番難しいと感じています。人の考え方や価値観を根っこの部分から本当に変えるというのはとても難しい事です。

筆者も書かれている通り成功事例というのは再現性が低いものですが失敗事例というのは比較的再現性が高いと思います。(再現させる人はいませんが)
失敗事例から学べることは多いもだと感じましたし、自分の事業再生のコンサルティングにも生かしていきたいと思います。


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