書評「業種別」不正パターンと実務対応
2019年09月10日 / 最終更新日 : 2019年09月10日こんにちは、中小企業診断士の山田盛史です。
久しぶりの書評記事を書きます。
最近は読書する時間があまり取れなかったということもありますがネットニュースやメルマガなどから情報収集することが増えてきているので紙の本を読むことは段々と減ってきています。
先日、「業種別」不正パターンと実務対応という本を読みました。
この本は企業の不正経理について業種別に事例形式で解説してある本です。
私は会計監査を仕事にしている訳ではありませんが事業再生やM&Aのコンサルティングを行う際に対象企業の事業面や財務面での価値やリスク等を調査するデューデリジェンスという実態調査を行います。
このデューデリジェンスのなかで決算書の内容を精査して、実態の貸借対照表の作成や正常な収益力を把握します。
実態貸借対照表の作成には資産の実在性や評価の妥当性、簿外債務がないかといった負債の網羅性の観点が必須となり、会計監査の視点や知識も必要になります。
不正経理のパターンとは
本書では不正経理を以下の8つに分類しています。
①自己決済、②架空取引(在庫評価含む)、③循環取引、④資産過大計上、⑤簿外債務、⑥原価付替、⑦在庫横領、⑧その他
私も②架空取引、⑤簿外債務などは不正経理をしている企業に出くわすこともあります。
特に在庫に関する不正経理(金額を水増しする等)は自社単独で容易に実施できるため、最も多い不正経理パターンではないかという気がします。
逆に③循環取引などは複数企業を巻き込んだものであり、かつ会計知識も求められるため比較的少ないものと思います。
不正経理を防ぐ内部統制・経営管理上のポイント
本書では不正パターンに合わせた経営管理上のポイントも記載されています。
それは発注者、検収者など取引における担当者を同一人物ではなく複数名に分ける。営業担当者の業務をモニタリングする部署を設置するなどの対応が考えられます。
ただ、中小企業の場合には担当者自体が少なく兼務している人が多いことや管理業務が増えると手間が増えてしまうというデメリットもあるため、どこまでやるべきかという問いも重要であると感じます。
中小企業は社長と従業員との距離が近く、社長が目を光らせておくことが従業員にとっての1つの内部統制、不正経理への牽制になっているという事もあります。
企業規模によって、仕組みとしての内部統制と風土としての内部統制の2面性を意識して考えていかなければ行けないと感じます。
皆さんの会社ではどのような内部統制を行っていますか。
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