経営者が知っておきたいモチベーション理論「競争相手は過去の自分である」
2019年04月25日 / 最終更新日 : 2019年04月22日こんにちは、中小企業診断士の山田盛史です。
今回は前回に引き続きモチベーションについて、経営者が知っておきたいモチベーション理論を考察とともにご紹介します。
経営者が知っておきたいモチベーション理論
①内発的動機
実験内容:
心理学者リチャードは絵を描いて遊びたいという子どもたちにペンを与えて遊んでもらう実験を行いました。
子どもたちには別々に次の3通りの対応を行いました。
1)先に「上手に絵を描けたら、ごほうびをあげる」と伝え、絵を描いたあとにごほうびをあげる。
2)先にごほうびのことには触れずに絵を描いたあとにごほうびをあげる。
3)ごほうびをあげない。
その結果、1)の対応を受けた子どもは2)、3)の対応を受けた子どもより長い時間、絵を描いて遊びました。
その数週間後、同じ子どもたちにまたぺんを与えて遊んでもらいました。今後はごほうびはありません。すると2)、3)の子どもは前回同様に楽しんで絵を描いて遊んだのですが、1)の子どもは絵を描いて遊ぶことに興味を示さなくなりました。
つまり、1)の子どもはごほうびをもらうために絵を描いたという状態になり、2)、3)は絵を描くという行為自体に楽しみを見出したという事になります。
自主的な行動に対して報酬を与えることでやりがいや楽しみという内発的動機づけが失われてしまうということです。
自主的な行動は自分がやりたい、楽しいと思えるからこそ意義があるもので、それに報酬を与えてしまうことで、その行動は報酬を得るためにやっている行為にすり替えられてしまいます。
部下が自発的にやりたいという内容に対しては、余計な報酬を用意する必要はなく、ただ見守るということが重要であると思われます。
これは子育てにもよく当てはまると思います。本人がやりたいということをやれる環境を用意するということが教育には大事なことだと思います。
②競争相手は自分自身
実験内容:
エイムズは、被験者に2人1組になって問題を解いてもらい、問題を解き終えるたびに2人の成績を読み上げるという実験を行いました。
2人の被験者にはそれぞれ以下のように伝えておきます。
1)1人目の被験者(Aさん)に対して伝えた事:
「2人を比較して成績が良かった方が勝つ、勝った方はごほうびをもらえる」2)2人目の被験者(Bさん)に対して伝えた事:
「勝ち負けはなし。2人には研究への協力に対してごほうびをあげる」
その結果、2人に「自分の成績はどうだったか?」と振り返ってもらうとAさんは成績の要因を自分の能力や運と結びつけました。
Bさんは自分の努力と結びつけました。
他社との競争での勝ち負けは「自分の資質としての能力」や「自分の置かれている環境」を理由にしてしまいがちです。
この場合には自分の資質や環境のせいにしやすく、他人との勝ち負けを続けていると勝つ人と負ける人が固定化してきたり、負ける人はモチベーションが低下し続けます。
逆に過去の自分自身と競争することで自分の成長や怠慢が分かります。また他人や環境のせいにはできません。そして納得感もあります。
つまり競争相手を自分自身とすることでモチベーションが高まりやすく意欲が湧きやすくなります。
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