アドバンテージ・マトリックスとは?事業方針を決定するために理解すべき4つの事業について解説

2024年12月01日 / 最終更新日 : 2024年11月01日

アドバンテージ・マトリックスとは、経営方針を定めるために役立つ分析手法です。市場における自社の立ち位置を確認できるため、事業の方向性を適切に決定できます。

 

本記事では、アドバンテージ・マトリックスの基礎知識についてご紹介していますので、事業経営の参考にしてください。


アドバンテージ・マトリックスとは

アドバンテージ・マトリックスとは、市場における競争環境を確認、分析するための手法です。「競争性の高さ」と「優位性の獲得しやすさ」を基に、市場を4つの事業に分類して競争環境を確認します。

 

自社がどの事業に分類されるかを確認できれば、今後どのように事業を展開すべきかの判断材料になります。

競争性の高さ

競争性の高さとは、他社と競争になる要素の多さを指します。たとえば飲食店の場合、立地条件や商品価格、サービス内容などが競争となる要素です。

 

競争となる要素が多ければ、他社との差別化が図りにくく市場競争は激しくなります。顧客の選択肢が増え、類似の店舗に分散してしまうからです。

 

競争要因が少なければ、他店舗と比較されることがなく一定の集客が見込めるため、競争が緩やかになります。

優位性構築の可能性

優位性とは、他社にまねできない自社の強みを指します。独自のサービスや専門性の高い商品などです。

 

優位性を構築できる可能性が高ければ、利益を得やすく事業も拡大しやすくなります。競合となる他社がおらず、顧客が自社を選ぶ可能性が高まるからです。

 

一方で、優位性を構築できる可能性が低ければ、優位性以外の要素で利益獲得を目指さなければなりません。


アドバンテージ・マトリックスにおける4つの事業

競争性:低 競争性:高
優位性:小 手詰まり型事業 分散型事業
優位性:大 規模型事業 特化型事業

アドバンテージ・マトリックスでは、「競争性の高さ」と「優位性の獲得しやすさ」を基に、市場を次の4事業に分類します。

 

1.手詰まり型事業(競争性:低・優位性:小)

2.規模型事業(競争性:低・優位性:大)

3.分散型事業(競争性:高・優位性:小)

4.特化型事業(競争性:高・優位性:大)

 

それぞれの事業には異なる特徴があります。自社がどの事業に分類されるかを理解できれば、事業の方向性や改善方法もみえてくるでしょう。

手詰まり型事業

手詰まり型事業とは、競争要因が少なく優位性を獲得しにくい事業を指します。代表的な例がセメント事業や鉄鋼業界などです。

 

このような事業では市場が停滞している可能性も高く、事業を拡大しても新規参入しても利益を得にくい特徴があります。

 

そのため、業務改善による生産性向上や資源調達のコストを抑えるなど、既存の利益をいかに継続できるかが課題となります。

規模型事業

規模型事業とは、競争要因が少なく優位性を獲得しやすい事業です。日本の自動車業界などが挙げられます。

 

規模型事業では規模の拡大と共に利益も向上する特徴があります。たとえば、大量生産のために作業を機械化したり原材料の一括仕入れで材料費を抑えたりすることで利益を高められます。

 

規模の拡大が事業のカギとなるので、どれだけ多くの顧客に利用してもらえるかが重要です。

分散型事業

分散型事業とは、競争要因が多く優位性も獲得しにくい事業です。個人経営のカフェや美容室など、比較的に小規模な事業が該当します。

 

分散型事業では、規模を拡大しても利益の向上が見込めません。類似のサービスを提供している他社も多く、顧客獲得が困難となるからです。

 

このような事業では、規模を小さく保ち、既存顧客に焦点をあててサービス提供する必要があります。

特化型事業

特化型事業とは、競争要因が多く優位性を獲得しやすい事業を指します。医療器具や専門誌など、特定の分野を専門的に扱う事業です。

 

競争要因は多いですが専門性が高いため、事業規模に関わらず利益を得られる特徴があります。

 

特化型事業では、同じように専門分野を取り扱う他社が競合相手となるため、専門分野における地位の確立が重要です。


まとめ

アドバンテージ・マトリックスは、市場における事業の立ち位置を確認して分析するための方法です。「競争要因の多さ」と「優位性の獲得しやすさ」を基に、4つの事業に分類して判断します。

 

自社がどの事業に分類されるかを確認することで、今後の事業方針を定めるヒントとなるでしょう。本記事を参考に、ぜひ自社の事業タイプを確認してみてください。


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