CAGR(年平均成長率)とは?複雑な計算式や特徴を分かりやすく解説

2024年11月25日 / 最終更新日 : 2024年10月01日

CAGRは複数年の平均的な成長率を算出する方法です。単純な平均値の算出方法とは異なり計算式が複雑なため、正しく理解できていない人も多いのではないでしょうか。

本記事では、CAGRの計算方法を具体例で解説しています。後半ではCAGRの特徴である幾何平均や複利についても解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。


CAGRとは

CAGR(Compound Annual Growth Rate)とは、一定期間における事業の年平均成長率です。たとえば、2015年から2020年では、5年間を平均すると1年あたりにどれ程の成長率があったかを確認する場合などに用いられます。

 

CAGRを算出することで事業計画や予算の作成、競合他社との比較に活用できるため、事業の分析や改善に有効です。事業の発展には欠かせない指標ともいえるでしょう。



CAGRの計算方法

CAGRは複利を考慮した幾何平均を算出するため、単純な平均値の計算では算出できません。具体的には次の計算式で算出します。

 

計算式:CAGR=(期間における最後の売上÷最初の売上)^{1÷(対象期間-1)}-1

 

具体的な例を分解してご紹介します。

 

例)2015年から2020年の5年間で、1,000万円から1,500万円に売上が増加した場合

 

CAGR=(1,500万円÷1,000万円)^{1÷(5年間-1)}-1

=1.5^(1÷4)-1

=1.5^0.25-1

=1.1066-1

=0.1066

=10.66%

 

計算式における「^」はハット・キャレットと呼ばれる「べき乗(累乗)」を表した記号です。

 

電卓などでは計算が困難なため、一般的にはExcelやGoogleスプレッドシートなどの表計算ソフトを用いて算出します。Excelで計算する場合には、PRI関数やPOWER関数を使用して算出することも可能です。



CAGRの特徴

CAGRの計算式は少々複雑です。理由としては、CAGRの特徴である幾何平均と複利が挙げられます。幾何平均と複利を考慮することで、より正しいCAGRの算出が可能です。以下で幾何平均と複利が必要な理由について解説します。

幾何平均

幾何平均とは、比率や割合などの変化に応じて平均を求める方法です。一般的に平均値を算出する場合は、算術平均が使用されます。

 

たとえば、5年間で1,000万円から1,500万円に売上が増加した場合、5年間で500万円の増加となるため1年で100万円づつ増加したと考えられます。1,000万円に対して100万円づつ増加しているため、10%の増加率と考えてしまうでしょう。

 

しかし、実際の事業運営では、150万円増加する年もあれば50万円しか増加しない年もあります。そのため、毎年の増加率が変化するCAGRの算出には、算術平均よりも幾何平均を使用する方法が適切なのです。

複利

複利とは主に投資で使用される言葉で、利子に対して更に利子がかかる計算方式を指します。

 

CAGRにおける複利は、前年の売上を考慮した計算です。

 

5年間で500万円の売上が増加した場合を例とした場合、1年目で100万円の増加があれば10%の増加となります。初年度の1,000万円に対する増加額が100万円となるからです。

 

しかし、2年目に100万円の増加があっても増加率は10%となりません。前年の売上が1,100万円となっているからです。1,100万円に対して100万円の増加だと増加率は約9%となります。

 

このように、複利を考慮して計算することで、より正確なCAGRが算出できるのです。



まとめ

CAGRは特定期間における事業の年平均成長率を示した数値です。幾何平均や複利により複雑な計算式となっていますが、単純な算術平均で計算するよりも具体的な成長率を把握できます。

 

事業計画や競合他社の比較にも活用できるため、事業分析や改善に役立ちます。CAGRにより将来の見通しが立てやすくなるため、事業成功にも繋がりやすくなるでしょう。本記事を参考に自社のCAGRを確認してみてください。


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