ダイナミックプライシングとは?企業と顧客が受けるメリットやデメリットについて解説
2024年03月30日 / 最終更新日 : 2024年02月02日ダイナミックプライシングをご存じでしょうか。ダイナミックプライシングは、企業が安定的に利益を得るために効果的な戦略です。しかし、実際に導入する場合にはいくつかの注意点があります。
本記事ではダイナミックプライシングに関する基礎知識や、注意点としてのメリットやデメリットについて解説しています。ダイナミックプライシングについての理解が深まりますので、ぜひ最後までご覧ください。
ダイナミックプライシングとは
ダイナミックプライシングとは、商品やサービスの需要に応じて価格を変動させる販売方法です。別の呼び方だと、変動料金制とも呼ばれます。
テーマパークや航空券などを想像するとイメージしやすいでしょう。テーマパークの場合、土日や大型連休になると入場料が高くなります。休日は利用者の増加が期待でき、利益率の向上が見込めるからです。
一方、平日の17時以降は入場料を安く購入できます。平日の夕方は利用者の減少が想定されるため、値下げによる来場者増加で、利益率の低下を防ぐ目的があるからです。
このように、需要の変化に伴って価格を変動させる方法がダイナミックプライシングです。
ダイナミックプライシングの実行手順
ダイナミックプライシングの実行には、大きく3つの手順が必要になります。次の3つの手順です。
手順1|情報収集
手順2|需要分析
手順3|価格決定
変動価格を決定するためには多くの情報が必要となります。顧客の年齢や性別だけでなく、自社の固定費や競合他社の価格設定など、さまざまな要素が自社の利益に影響するからです。そのため、できる限り多くの情報を集めなければいけません。
集めた情報を基にして、次は需要の調査を行います。月別や曜日別、時間帯別の売上などの分析です。
分析結果を参考に価格決定を行います。従来はこれらの作業を人の手で行っていました。しかし、近年ではAIやシステムの発展により、情報分析も容易になっています。人件費やヒューマンエラーを削減でき、より適切な価格設定が可能となったのです。
ダイナミックプライシングにおけるメリットとデメリット
ダイナミックプライシングを導入する際には、メリットとデメリットを理解する必要があります。企業の利益を高めることができるからです。
また、顧客のメリットとデメリットを知っていれば、顧客離れや機会損失の防止にもつながります。それぞれの特徴をきちんと理解したうえで、導入を検討しましょう。
企業
ダイナミックプライシングによる企業側のメリットとデメリットは次のとおりです。
メリット | デメリット |
利益の安定化 | システム運用のコスト |
資源の最適化 | 顧客の不安 |
需要が大きいときには価格を上げて利益を高め、需要が小さいときには価格を下げて損失を抑えられるため、利益を安定的に得られます。また、需要が小さいときには人員を減少したり在庫を低価格で販売するなど、資源の最適化も望めます。
一方で、システムの導入費や運用費など、コストがかかってしまう一面もあります。価格の変動により、顧客の安心感を損なう恐れもあるため、注意して導入を検討しなければいけません。
顧客
ダイナミックプライシングによる顧客側のメリットとデメリットは次のとおりです。
メリット | デメリット |
お得感 | 損失感 |
機会損失 |
価格が変動するため、需要が小さいタイミングであればお得に商品を購入できます。しかし、タイミングが悪ければ高価な時期に商品を購入しなければいけません。
通常時との価格差が大きいほど、顧客は損失感を覚えてしまいます。値下がりを期待している間に売り切れてしまうなど、購入機会を失ってしまう顧客もいるでしょう。
価格への不安や損失感があると、顧客が離れてしまう可能性もあります。顧客の信頼を損なわない価格設定にも配慮が必要です。
まとめ
ダイナミックプライシングは、需要の変動に応じて価格を変更する販売方法です。安定的に利益を獲得でき、人件費削減などにより資源の最適化を図れるメリットがあります。
しかし、導入にはシステムの運用コストや顧客の心情に配慮しなければいけません。顧客離れを防ぎ、利益の最大化を目指すためにも、充分な情報収集を行って導入を検討しましょう。
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