デファクトスタンダードとは?メリットやデメリットについて分かりやすく解説

2023年12月20日 / 最終更新日 : 2023年12月05日

デファクトスタンダードとは、社会的な標準を意味します。社会的な標準と聞いても、具体的にイメージできない人も多いでしょう。

 

今回の記事では、デファクトスタンダードの代表例やメリット・デメリットについて解説します。記事の後半では、企業が長期的に利益を得るために注意すべきことも紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。


デファクトスタンダードとは

デファクトスタンダードとは、公的に認められているわけではないが、社会的には当たり前として浸透している「事実上の標準」を意味します。

 

身近な代表例が、PCのキーボード配列を表す「QWERTY配列」です。キーボードの配列は、公的機関が認証しているわけではありませんが、どの会社も当然同じ配列で製品を作成します。通常と異なる配列だと、利用者の利便性も悪くなってしまうでしょう。

 

このように、公的ではないが社会的に標準化されている事柄がデファクトスタンダードです。


デファクトスタンダードによる2つのメリット

デファクトスタンダードとして事実上の標準化を生みだせると、大きな利益を得られます。デファクトスタンダードには多くのメリットが存在するからです。

 

今回は代表的なメリットとして「市場の優位」と「使用量の獲得」についてご紹介します。

市場の優位

デファクトスタンダードは市場の優位性をもたらします。標準化とは、「利用者が多く市場シェア率の大半を占めている」と言い換えられるからです。

 

シェア率が高ければ、広告にかかるコストを抑えられるだけでなく、他社の市場参入を防止する効果も期待できます。模倣品などの出現も想定できますが、オリジナル性をアピールすることで、自社のブランドイメージ向上にもつながるでしょう。

使用料の獲得

独自の製品やサービスであれば、使用料の獲得も望めます。独自のサービスやアイディアは、特許権などの知的財産権として法律で保護されているからです。

 

知的財産権では、技術や発明の独占的な使用が認められ、他者の使用を制限できます。そのため、権利者は使用料を徴収して使用の許可を認めることができるのです。

 

標準化されている技術が不可欠な市場においては、多くの企業が使用料を支払わなければならないため、自社にとって大きなメリットとなります。

参考:日本弁理士会「知的財産権とは」


デファクトスタンダードにおける2つのデメリット

デファクトスタンダードには大きなメリットがある反面、デメリットも存在します。「市場の独占」と「市場の衰退」です。

 

デメリットを理解していなければ、得られるはずだった利益を失ってしまうかもしれません。長期的に利益を得るためにも、デメリットを理解してリスク回避を心がけましょう。

市場の独占

市場の独占は、自社にとってもメリットに感じるかもしれません。しかし、独占によるデメリットも存在します。代表的な例が独占禁止法です。

 

市場が独占されると、消費者は選ぶ権利を自由に行使できなくなってしまいます。消費者を守るため、独占禁止法に違反する企業には罰則が課せられます。独占禁止法に違反していなくても、競合他社や世間からの批判があるかもしれません。

 

デファクトスタンダードにより市場の優位を保つ際には、独占による他者への配慮も不可欠です。

参考:公正取引委員会「独占禁止法の概要」

市場の衰退

デファクトスタンダードには、他社の参入を防止する側面があります。そのため、市場競争が減少して活性化がなくなり、市場全体が衰退していくかもしれません。

 

たとえば、利益を高めるために販売価格を高めれば、独占状態の市場ではその価格が市場価格になります。適正価格でなければ、消費者は徐々に離れて行ってしまうでしょう。市場規模が小さくなってしまえば、利用者が減少し、結果的に利益を得られなくなる可能性もあります。

 

長期的に利益を得るためにも、適切な市場価格のコントロールなども重要です。


まとめ

デファクトスタンダードとは、事実上の標準です。市場を独占的にコントロールできるため、企業にとっては大きなメリットとなります。一方で、独占禁止法や市場の動向へは注意が必要です。長期的な利益獲得を維持するため、法律や他社だけでなく消費者への配慮も必要だと理解しておきましょう。


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