EVAのメリットと特徴
2020年11月30日 / 最終更新日 : 2020年10月08日Economic Value Addedを略したEVAとは、経済的付加価値と訳された経営指標を表す用語です。
しかしながら、経済的付加価値と日本語だけで運用されることは少ないでしょう。
ROAやROEがカバーし切れていない、株主からの資金調達コストを反映した指標としてEVAは開発されました。
ここでは、そのEVAが表す意味合いを探り、その指標のメリットを説明します。
ROAやROEとEVAの違い
企業経営を表す他の収益性指標、ROAやROEのR部分の利益は、一般的に当期純利益を用いて、その指標の算出に使われることが比較的多いです。
しかしながら、配当の原資は純利益から差し引く為に当期純利益のレベルでは控除出来ていません。
株主に支払う配当を株主から調達した資金に対する必要コストと考えた場合、その資金調達コストがROAやROEで表される収益性のパフォーマンスに反映されていないことが分かります。
総資産利益率(ROA) = 当期純利益 ÷ 総資産
自己資本利益率(ROE)= 当期純利益 ÷ 自己資本
一方、EVAは
EVA
=NOPAT(税引後営業利益)- 資本コスト額
=NOPAT(税引後営業利益)- 投下資本 ✕ 資本コスト(率)
=(ROIC-WACC)✕ 投下資本
と表されます。
ROIC:投下資本利益率(Return On Invested Capital)= 営業利益 ÷ 投下資本(有利子負債+株主資本)
WACC:加重平均資本コスト(Weighted Average Cost of Capital)
ROICとWACCについては詳細の説明はまたの機会とさせて頂きますが、簡易的に
営業利益の資産効率指標であるROIC > 借入金(Debt)と株主からの資金調達(Equity)の重み付き平均コストであれば、当期純利益から配当を差し引いても利益剰余金が残る、と理解しておけば良いでしょう。
EVAがプラスであれば良い、と言われる理由はここにあります。
逆にEVAがマイナスであれば、当期純利益レベルで黒字であったとしても、純資産を積み上げることなく、持ち出しが発生していると言えるでしょう。
経営の継続性の視点では、持ち出しを発生させることなく経営を続けることが重要ですのでEVAをプラスにする為に必要な営業利益額や営業利益率がどれだけ必要かを逆算して、更なる経営効率アップの具体的な目標値を設定できるメリットが生まれてきます。
では配当をコストと考えた場合に、どれくらい必要と考えれば良いでしょうか。
目安として、上場企業の配当性向は、30%は必要と言われていますので当期純利益のうち30%を配当として支払うことが事実上の企業の必要コストとなっています。
当期純利益から配当を支払った後は利益剰余金としてB/Sに計上されます。
ちなみにこの利益剰余金が積み上がったもの指して、企業の内部留保と言います。
この2020年のコロナ影響での企業収益の想定外の落ち込みに対し、この内部留保の厚みの有無が、生き残れる体力を左右しているのも現実です。利益剰余金を積み増すことができる経営力が問われる場面では、EVAが表す視点が重要とも言えます。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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