ファブレス・ファウンドリとは?IDMとの違いや両者のメリットについて解説

2024年12月10日 / 最終更新日 : 2024年11月01日

ファブレス・ファウンドリとは、半導体業界における分業体制を意味します。ファブレスは企画設計を行う企業、ファウンドリは製造を行う企業です。

 

両者には独自の特徴やメリットがあり、半導体業界では分業体制で製造を行う方法が一般的になっています。

 

本記事では、半導体事業に欠かせないファブレス・ファウンドリについて分かりやすく解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。


ファブレスとは

ファブレスとは、工場を意味するファブ(fabrication facility)と否定を意味するレス(less)を組み合わせた言葉です。自社で生産設備を所有しない製造業を意味します。

 

製造業にもかかわらず生産設備がなければ、矛盾を感じる人もいるかもしれません。しかし、製造業にも多くの過程が存在します。製品の企画や設計、マーケティングや販売などです。

 

これらの業務を専門的に行うことで市場の変化に素早く対応でき、より満足度の高い製品を製造できるのです。企画や設計を終え、生産を専門とする他社へ委託して製品を完成させます。


ファウンドリとは

ファウンドリ(foundry)を直訳すると「鋳物工場」という意味ですが、現代ビジネスの場においては、主に半導体の製造工場を意味します。ファブレス企業が企画した製品を実際に製造する企業です。

 

ファウンドリ企業は製造を専門に業務を行っているため、生産設備が整っており高い技術力を保有しています。そのため、ファブレス企業が製造するよりも低コストで高品質な製造が可能となるのです。

 

ファブレスとファウンドリのように、業務を分担して進める方法を水平分業といいます。


IDM(Integrated Device Manufacturer)とは

ファブレスとファウンドリの対極にあるのがIDMです。IDMとは、半導体事業において、設計から販売までの全工程を自社で行う企業を指します。水平分業と対比して垂直統合とも呼ばれ、多彩なノウハウの蓄積や管理のしやすさが特徴です。


ファブレスとファウンドリのメリット

ファブレスとファウンドリのメリットは、業務の効率化とリスクの低減です。

 

水平分業の場合、それぞれが専門分野に集中できるため業務効率が高くなります。業務効率が高ければ、無駄な業務を削減でき安定的な経営にもつながるでしょう。

 

また、ファブレス企業にとっては、生産設備に必要な多額の資金が不要となり、設備投資のリスクを軽減できます。ファウンドリ企業にとっても、売れる製品を企画する必要がないため、自社製品として販売するリスクを避けられます。


ファブレスとファウンドリのデメリット

ファブレスとファウンドリのデメリットには、管理の難しさが挙げられます。水平分業では各企業が別々に業務を行うため、IDMよりも連携が複雑になってしまうからです。

予算や納期、品質の管理など、両者の希望が必ずしも一致するとは限りません。

 

そのため、事前の打ち合わせや進捗確認など、綿密なコミュニケーションが両者に求められます。コミュニケーションが円滑に進まなければ、水平分業のメリットも得られなくなるため注意が必要です。


まとめ

ファブレス・ファウンドリとは、半導体事業における水平分業を意味します。企画設計をファブレス、製造をファウンドリが担当していると覚えれば分かりやすいでしょう。

 

ファブレスとファウンドリの違いを知れば、自社の事業方針の参考にもなります。この機会に、ファブレス・ファウンドリについて更に知識を深めてみてはいかがでしょうか。


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