経営コラム

Management column

管理会計の勘所

2020年08月07日 / 最終更新日 : 2020年07月31日

中小企業診断士の山田盛史です。
今回は管理会計について、その勘所を書きます。


管理会計を上手く活用する

日々、事業再生などを中心に中小企業の財務、資金繰りに深く関わるたびに管理会計の重要性を痛感します。
しかしながら、その一方で管理会計を上手く活用している中小企業はかなり少ないなという実感があります。
会計事務所は財務会計による記帳代行がメインのため、中小企業経営者は管理会計の必要性を感じることが無いのがその一因だと思います。

売上規模が数千万円などの小規模であれば、管理会計など考えなくても、単に売上高を上げることを目指して頑張り、あとは経営者の勘と経験で判断する、いわゆるKKD(勘と経験と度胸)の経営でもそれなりにやっていけます。

ただ、数億円、そして数十億円になってくると管理会計を上手く活用する必要があります。事業毎や製品毎、顧客毎などの売上高、収支を把握する。また売上や収支に影響を与えるドライバーは何かを把握してKPIを設定する。予算を設定して実績との差異を把握して振り返るなどをしなければいけません。

そういった管理会計がなければ、的を得た経営判断は困難になります。
また、銀行などを中心とした外部の人に対して、自社の経営状況を数値を根拠に説明できません。


管理会計におけるポイント

管理会計は財務会計と違って決まった形はありません。つまり、会社によって何をどう管理しても良いのです。

これから管理会計を導入して管理を行う企業様は、いきなり難しいことはやらずに自分たちが無理なく管理できるところから始めるのがポイントです。
重要なのは、継続すること、そして数値が無理なく補足できて管理できることなので、無理なくできる範囲でやってみるのが良いと思います。
そして、慣れてくればさらに管理する範囲を広げたり、管理する内容や粒度を、より精緻なものにして行けば良いと思います。

逆に、売上規模が数十億円とそれなりに大きく、かつ業歴も長い企業様で見かけるパターンとして、管理会計をやり過ぎているというケースもあります。
管理会計とは数値を加工したり並び替えたりして管理していく事に他なりません。そのため、やりようによってはいくらでも数値を加工して管理数値や管理資料を作ることができるのです

管理会計をやり過ぎている会社の経営会議に参加すると、まず財務資料が多すぎるという事が目に着きます。
あまりに多くを管理するとその分、財務資料も増えるので資料を作成する担当者の負担が増えます。
また経営会議でも一通り目を通すのに時間が掛かります。資料を理解する会議になって形骸化する恐れもあります。

業歴が長い企業は、先代の経営者がやっていた事、前任の担当者がやっていた事を、理由は分からないが踏襲してやり続けているという事が少なくありません。
そのため、管理項目が増える一方になっているケースがあります。本当に必要な情報、管理すべき項目はそれほど多くはありません。
ですので、管理会計は定期的に見直すということも必要な要素です。

つまるところ、管理会計は目的が重要です。
「何のためにその項目、数字を管理するのか?」「それを管理することに本当に意味があるのか?」という目線が重要で「目的を見失わない事」が大切です。



最後まで読んで頂きありがとうございました。
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