資本金をいくらにするか、決算月をいつにするか (その2:決算月)

2020年12月16日 / 最終更新日 : 2020年12月05日

中小企業診断士の山田盛史です。
これから独立して法人を立ち上げる方、また個人事業主で法人成りをされる方にとって、少し判断に悩む事項として資本金をいくらにするか?そして決算月をいつにするかということがあげられます。

前回の記事では資本金について解説しました。
前回の記事はこちら

後半となる今回は決算月について解説します。


一般的な決算月とは

個人事業では会計期間は一律1月~12月となります。
しかし、法人では任意に決算月を決めることができます。
日本の会社では3月決算という会社が最も多いです。
そのため、法人の決算月は3月だと思いこんでいる方もいますが、3月である必要はなく好きな月を選ぶことができます。

一般に3月決算にしている理由としては

・国の予算期間が4月~3月であるため、国や地方自治体との取引が多い場合には都合が良い。

・学校が3月末で終わるため新入社員を迎えやすい

などがあげられるようです。

いずれも一般的な理由であり、特に中小企業にとって最適な理由とは言えません。


自社に最適な決算月を考えるポイント

決算月は特に決まりはなく、いつでもいいと言えばそれまでですが、自社のメリットを考慮して決算月を選択したいものです。
考えるポイントはいくつかありますのでご紹介します。

①税理士の繁忙期をさける

一般に3月決算や12月決算が多いということは、これらの時期に会計事務所は繁忙期になります。
決算月から2ヶ月以内に税務署に申告をしなければいけないため、会計事務所にとって5月や2月は忙しくなります。

繁忙期は、税理士に何か依頼をしてもレスポンスが遅くなったり、通常より丁寧な対応はどうしても難しくなります。
そのため、上記の期間を避けて決算月を設定するという考え方があります。

②自社の繁忙期をさける(繁忙期から離れた月にする)

同様に自社の繁忙期も避けたほうがよいという考え方もあります。
繁忙期は業務が忙しく書類の整理や棚卸など決算業務も大変になります。
また、繁忙期は売上や利益が比較的変動しやすいため予想利益が読みにくいという状況もあり得ます。

予想利益を見込んで節税対策を行った上で決算を迎えたいところですが、繁忙期と決算月が近いと有効な節税策を打てないことが多いので、できるだけ繁忙期と決算月は離した方が良いでしょう。



③資金に余裕がなくなる時期をさける

決算月から2ヶ月後に税務署に申告して法人税などを納めることになります。
そのため、資金繰りを考えると資金が枯渇しやすい月とずらした方が資金繰りは楽になります。

④設立年月日からもっとも離れた月を設定する

前半の記事で書きましたが、設立から原則、2期間は消費税の納税義務がない免税事業者になります。
そのため消費税の納税義務の免除期間を長く取ることを考えると、設立年月日からもっとも離れた月を決算月にするのが良いです。


決算月は変更できる

決算月設定のポイントを解説して来ました。
あまり自社にとって有利な月で設定出来ていなかったという事業者様については、決算月を変更するということも一つの手です。
決算月は法人設立後も変更することができます。

変更は登記が不要で、株主総会決議と異動届を提出すれば良いので比較的手続きが簡易になっています。

最後まで読んで頂きありがとうございました。
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