意外と知られていない!?給与の締め日と支払日のルールについて解説
2023年05月30日 / 最終更新日 : 2023年04月19日従業員を雇い始めると定めておかなければならない事項が多くありますが、そのなかでも従業員の関心が高いのは「給与の締め日」と「支払日」です。この2点を定める際に知っておきたいポイントを紹介いたします。
就業規則に記載が必要
給与の締め日と支払日は「絶対的必要記載事項」として就業規則に記載が必要な事項です。就業規則以外の給与締め日・支払日とする場合は、個人に対する労働条件通知書でその旨を記載しなければなりません。
給与支払いの5つのルール
給与支払いに関しては労働基準法第24条により次の5つのルール(原則)が定められています。文中の賃金は給与と読み替えていただいて問題ありません。
- 通貨払いの原則
賃金を国内で一般に使用される貨幣で支払うこと
- 直接払いの原則
賃金を直接労働者に支払うこと
- 全額払いの原則
賃金を全額支払うこと
- 毎月1回以上の原則
賃金を毎月1回以上支払うこと
- 一定期日払いの原則
賃金を一定の期日に支払うこと
このなかで、締め日支払日に関連する4と5のルールについて詳しく見てみましょう。
毎月1回以上の原則
給与は必ず1月に1回以上支払わなければなりません。年棒制の場合でも、12月にわけて支払う必要があります。1回以上なので給料支払日が1月に2回あっても問題ありません。
この原則は、安定した給与の支払いを確保することを趣旨としています。ですが、不当に長い期間でない限り、締め日の後、ある程度の期間を経てから支払う定めをすることも差し支えありません。
ここで2つのケースを見てみましょう。
■ケース1.当月末締め翌月25日払い
4月入社の場合、4月中は給与支払いがなく、5月25日が初回の給与支払いとなります。
→不当に長い期間とは言えないので適法
■ケース2.当月末締め翌々月10日払い
4月入社の場合、4月・5月中は給与支払いがなく、6月10日が初回の給与支払いとなります。
→不当に長い期間と判断される可能性があるので配慮が必要
支払期限に関するルールではありませんが、新入社員について初回の給与まで2月空く場合は、従業員へ事前に説明しておき了承を得ておくか、臨時の支払日を設けるなど配慮しておいた方が良いでしょう。
一定期日払いの原則
給与は一定の期日を定めて支払う必要があります。一定の期日とは、毎月20日などとして支払日を特定することです。
では給与の支払日を「第4金曜日」とすることは可能でしょうか。これは支払日が7日の範囲で変動することになりますので一定の期日と認められません。また、毎月20日として支払日が土日祝だった場合は前倒しでも後倒しでもどちらでも問題ありません。
(参考:Q4.賃金の支払日を「月の第4金曜日に支払う」と定めてもよいでしょうか?|厚生労働省東京労働局)
特定の手当のみ支給日をずらすことは可能か
基本給・通勤手当は当月給与で支給、残業手当は翌月給与で支給といった企業を拝見することがあります。実務上は残業手当や精勤手当など勤怠情報を元にした手当であることが多いですが、特定の手当のみ次回の給与支給日に支払うといったことも、先述した5原則に違反しない限り問題ありません。
給与締め日と支払日を変更する方法
給与の締め日と支払日は就業規則に定めが必要な事項です。そのため変更する際も就業規則変更の手続きに則り行うこととなります。
従業員が10人未満で就業規則が無い場合は、労働条件の変更にあたるため、労働条件通知書を再度作成し、従業員に周知する必要があります。
ポイントとしては、給与支払いが無い月の発生を避けるため賞与支払月に変更することをおすすめします。
給与締め日と支払日設定のポイント
最後に、締め日と支払日は近い方が従業員にとってはありがたいことですが、近接しすぎると給与計算担当者の負担が大きくなる場合があります。
例えば25日締め日翌5日支払日とすると、中10日しか無いこととなり、月末月初が休暇となる場合には給与計算作業に追われることとなります。
締め日と支払日を設定する際には、担当者の負担も考慮して定めると良いでしょう。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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