給与計算とは?給与支払い5つのルールと給与計算の流れを3ステップで説明

2023年11月15日 / 最終更新日 : 2023年10月11日

給与計算は、1.勤怠の集計、2.支給項目の計算、3.控除項目の計算の流れで行う従業員を雇っている場合には必要な作業です。本記事では、給与支払いに関する5つのルールを説明したあと、給与計算で行う作業を3ステップごとに、簡潔に説明します。



給与計算とは

給与計算とは、給与計算期間に労働した従業員について、労働時間などを集計・計算して給与を支払う一連の流れのことをいいます。給与計算は次の3ステップで行います。

 

  1. 勤怠の集計
  2. 支給項目の計算
  3. 控除項目の計算

 

 給与明細のイメージを見てみましょう。

 給与明細には「勤怠」「支給」「控除」と大きく3つの区分に分かれています。給与計算もこの区分ごと、順に計算していきます。

 

それぞれで行う作業を説明する前に、まず法律で定められた賃金(給与や賞与)支払いのルールを確認しましょう。



賃金支払い5つのルール

労働基準法第24条では、賃金(給与や賞与)の支払いに関して5つのルールを定めています。

 

  • 直接払い:賃金を直接労働者に支払うこと
  • 通貨払い:紙幣通貨によって支払うこと、ただし法令または労働協約に定めがある場合は現物での支給も可能
  • 全額払い:一括で全額を支払うこと、ただし税や社会保険料、労使協定がある場合は一部控除が可能
  • 毎月1回以上払い:毎月1回以上支払うこと
  • 一定期日払い:毎月10日、20日、末日など予め定めておいた日に支払うこと

 

 一定期日払いのルールでは、支払日を特定することが求められます。第4週の金曜などでは、日を特定したことにはなりませんので注意しましょう。これらのルールに違反すると30万円以下の罰金が科されるおそれがあります。



給与計算の流れ1.勤怠の集計

 

▼勤怠項目の例

 給与計算はまず、給与計算期間の勤怠を集計することから始めます。給与は、労働した時間に基づいて計算されるため、勤怠の集計は重要なステップです。勤怠の集計では次の項目を集計します。

 

  • 労働日数
  • 労働時間
  • 欠勤・遅刻・早退時間
  • 時間外労働
  • 深夜労働
  • 休日労働
  • 有給休暇日数

 

 これらのうち、時間外労働・深夜労働・休日労働は割増手当(残業手当や深夜労働手当)の支払いが必要です。正確に集計できる仕組みを整えておきましょう。



給与計算の流れ2.支給項目の計算

 

▼支給項目の例

 勤怠で集計した日数・時間数を元に支給項目を計算します。支給項目には、基本給・通勤手当・残業手当・役職手当・資格手当などがあります。

 

残業手当などの割増手当は、それぞれ次の割増率以上で計算します。

割増率
時間外労働 25%
月60時間を超えた時間外労働 50%
深夜労働 25%
休日労働 35%
時間外労働かつ深夜労働 50%
休日労働かつ深夜労働 60%
月60時間を超えた時間外労働かつ深夜労働 75%

※休日労働と時間外労働は重複しません



給与計算の流れ3.控除項目の計算

 

▼控除項目の例

 支給項目を計算してから控除項目の計算を行います。控除項目には、雇用保険料・健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料などの社会保険料と所得税・住民税などがあります。これらのうち、所得税は社会保険料控除後の金額を元に計算するため最後に計算されます。

 

 社会保険料のうちの介護保険料は40歳に達した日の属する月の社会保険加入者から控除します。ここでいう40歳に達した日とは誕生日の前日をいいます。つまり10月1日が誕生日の人であれば9月30日が40歳に達した日となり、9月分の介護保険料から控除を開始します。

 

給与計算の締め日と支払日

 給与計算の締め日と支払日について、法律上の定めはありません。しかし、締め日から支払日まで1カ月以上空いている場合は注意が必要です。

 

例えば、締め日が末日、支払日が翌々月5日ですと4月1日入社の従業員は初めての給与支給が6月5日となり2カ月間無給になってしまいます。6月以降は毎月1回以上支払われるため賃金支払いのルールに違反していることにはなりませんが、労務トラブルに発展する可能性もあります。

 

また、締め日と支払日が近接しすぎていると、給与計算作業の負担が大きくなります。できれば10日以上1カ月以内で設定するのが望ましいでしょう。


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