M&Aにおけるのれんとは?
2021年02月20日 / 最終更新日 : 2020年12月25日M&Aではしばしば「のれん」という用語が出てきます。
M&Aにおける「のれん」とは、企業の買収などを行った際に発生する資産のことであり、貸借対照表においては無形固定資産として計上されるものです。
そこで今回はこの「のれん」について詳しく解説していきたいと思います。
M&Aにおけるのれんとは何か
近年では中小企業の後継者不足などによってM&Aが利用されています。
のれんというと飲食店などにある物をイメージしてしまいますが、M&Aにおけるのれんとは当然ながら異なります。以下で詳しく解説していきます。
のれんについて
M&Aにおける「のれん」とは、買収する価格が買収対象企業の時価純資産額を上回る金額の事を言い、超過収益力とも言われます。
ここで時価純資産額というのは、貸借対照表において資産からその企業が有している負債を差し引いた金額を時価で表したものになります。
買収する際の金額を決めるにあたっては、いくつか評価方法がありますが、対象企業の純資産や今後の収益がどのくらいかによって決められます。
しかし、これは理論上の価格であり最終的には買い手と売り手の双方が協議して決まっていくものです。
将来の収益力には買い手の既存事業とのシナジーも考慮するため、考え方によって大きく変動する部分でもあります。
このように、単純な資産や負債だけではなく、シナジー効果も含めた収益など数字には表すことのできない部分も含めた価値を考えるため、売り手の純資産額と実際の買収額に差額が生じます。
この差額が「のれん」になります。
M&Aにおけるのれんの扱い方
のれんは現時点で決算書に現れている価値ではないので、貸借対照表においてどのように計上されるのでしょうか。買い手の貸借対照表の無形固定資産に計上されます。
現在の時価評価額よりも上回る価値で売買した差額のことを「のれん」といいますが、必ずしも時価評価額よりも上回る価値で売買されるというわけではありません。
買収対象企業の純資産額よりも少ない金額によって、M&Aが決まることもあります。
このように買収対象企業の純資産額より少ない金額で売買された価格の差額を「負ののれん」といいます。
負ののれんは、事業の業績が近年悪化していたり、多額の損害賠償請求などのリスクを抱えていたりする場合に生じるケースがあります。
負ののれんが生じるような場合であっても、既存事業とのシナジー効果によって収益力が改善され、事業を立て直せるなら買い手にとっても投資として意味を成すため取引が成立します。負ののれんは損益計算書の特別利益として発生した会計期間の利益として処理されます。
M&Aにおける「のれん」計上後の会計処理の仕方
M&Aにおいて、のれんが計上された際には20年以内に償却します。
20年以内といっても、何年でも良いというわけではなく買収した後の効果が及ぶ時間や事業実態などを勘案して決める必要があります。専門家と相談しながら決めていく必要があります。
償却期間において事業がうまくいかなかった場合などは、のれんの価値を下げることになり、多額の損失を計上する可能性もあります。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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