労働者名簿とは?書き方や様式、罰則についても解説

2022年12月20日 / 最終更新日 : 2022年11月09日

労働者名簿は法定3帳簿の1つであり作成が義務付けられています。賃金台帳や出勤簿と比べて認識度が低く、一度作成したっきりという場合も少なくありません。様式や書きにくい項目「履歴」の記入例を交えて解説します。




 

労働者名簿とは

労働者名簿は、法定3帳簿の1つであり、労働基準法(以下、労基法)第107条で作成と保存が義務付けられています。




 

記載内容は

労働者名簿に記載しておく項目は次のとおりです。

  1. 労働者氏名
  2. 生年月日
  3. 履歴
  4. 性別
  5. 住所
  6. 従事する業務の種類
  7. 雇入年月日
  8. 退職年月日(死亡年月日)
  9. 退職の事由

 

③の履歴には、労働者が入社してからの部署や地位の履歴を記入します。

例:2010年4月1日入社、総務課配属

2014年4月1日販売課異動、主任昇格

2016年10月1日マネージャー昇格

2018年4月1日開発課移動

⑥の従事する業務の種類には、「事務」「営業」「現場作業」「接客」「管理」などが入ることが多いです。

⑨の退職の事由には、「自己都合(依願退職)」「死亡退職」「定年による退職」などが入ることが多いです。

 

労働者名簿は、入社時に作成して終わりというわけではなく、履歴の項目があることから異動・昇格・降格な変更があったときには都度記入が必要となります。




 

様式は

労働者名簿の様式は厚生労働省のサイトからもダウンロードできますが、記載内容に漏れがなければ様式は自由です。ただ、見やすさや追記のしやすさも考え、労働者1名につき、1ページを使うのが良いでしょう。

主要様式ダウンロードコーナー|厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudoujouken01/

 

勤怠管理システムや給与計算システムを利用している場合、労働者名簿を出力できるものもありますが、全てのシステムに備わっているわけではなく、また、出力するにしても履歴を別途入力しなければならない場合が多いです。

 

労働者名簿として用紙も販売されており、勤怠管理や給与計算システムを利用していても労働者名簿だけは紙で調製している会社は少なくありません。




 

労働者名簿を作成しなくともよい労働者

労働者名簿は、正社員やパートアルバイトの名称に関係なく、原則すべての労働者について作成します。ですが一部例外となる労働者がいます。

 

  1. 日雇い労働者
  2. 派遣労働者
  3. 移籍出向中の労働者
  4. 役員

 

このうち、②は労働者としての籍が派遣元、③は出向先にありますので派遣元、出向先での労働者名簿作成が必要となります。

 

④の役員は、労働者では無いので労働者名簿の作成は必要ありませんが、助成金申請や年金事務所調査の際に役員名簿を求められることもありますので、別途役員名簿は作成しておくとよいでしょう。




 

保存期間

労働者名簿の保存期間は、退職や解雇または死亡日から起算して5年間保管することが義務付けられています(労基法第109条、労基法施行規則第56条)。

 

労働者名簿を利用する場面

労働基準監督署の調査のほか、労働者から在籍証明として自身の労働者名簿を求められる場面が度々あります。保育施設の利用に必要となることもあるそうで、すぐに渡せるよう常に最新の情報にしておきましょう。




 

罰則

労働者名簿を作成していなかった、保存期間を守っていなかった場合は、賃金台帳と同様に、30万円以下の罰金に処される場合があります(労基法第120条第1項)。

 

記載項目の「業務の種類」が定まらない場合にはとりあえず空欄で名簿を作成しておき、業務が定まったら記入しましょう。人事異動があったタイミングで「履歴」を追記しておくと、提出を求められた際にも慌てず対応できると思います。

 

最後まで読んで頂きありがとうございました。
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