事業再構築補助金か、ものづくり補助金か、どちらに申請すべきか
2021年02月08日 / 最終更新日 : 2021年02月06日中小企業診断士の山田盛史です。
今年度の目玉とされる大型補助金の事業再構築補助金ですが、経営者様の関心も非常に高いものとなっています。
弊社にも事業再構築補助金に関するお問い合わせや相談が寄らせれています。
様々な事業者様のご相談に応じるなかで、共通して多い質問があります。
それは「◯◯という事業を考えているのですが、事業再構築補助金とものづくり補助金のどちらに申請するのが良いでしょうか」
という内容です。
今回はこの質問に対する見解を述べたいと思います。
※本記事は個人的な見解や予想を含みます。
そもそもなぜこの質問が多いのか
以前までは、ものづくり補助金、IT導入補助金、小規模事業者持続化補助金という3大補助金がありました。今年度もあります。
ものづくり補助金は「中小企業等による生産性向上に資する革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資を支援する補助金」で最大1,000万円です。
IT導入補助金は「中小企業等による、新たに生産性向上に貢献するITツール・ソフトウェアの導入を支援する補助金」で最大450万円です。
小規模事業者持続化補助金は「小規模事業者が経営計画を作成し、その計画に沿って行う販路開拓の取組等を支援する補助金」で最大50万円もしくは100万円です。
これらは対象事業者や趣旨が明確に区分けされており、どの補助金にすべきか迷うことはありませんでした。
ところがこの度、事業再構築補助金が創設されました。
事業再構築補助金は「新分野展開や業態転換、事業・業種転換等の取組、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等を目指す企業・団体等の新たな挑戦を支援します。」とされています。
詳細な要件は、今後徐々に明らかになってきますが、現時点での概要資料は以下の通りです。
これを見ると、ものづくり補助金と似ている部分も多いため、事業者様からするとどっちの補助金に申請するのが良いのだろう。と迷ってしまうようです。
また、事業再構築補助金は、特別枠が創設されることも発表されました。
こちらは比較的、小規模事業者様向けの枠であり小規模事業者持続化補助金と比較してどちらの補助金にすれば良いか悩む事業者様が増えると思います。
結局、どちらの補助金に申請するのが良いのか
事業再構築補助金とものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金どちらに申請するのが良いでしょうか。
その答えは、事業再構築補助金の申請要件を満たせる事業者様は事業再構築補助金に申請するのが良いと考えています。
理由は2つあります。
①事業再構築補助金の方が対象経費の幅が広い
②事業再構築補助金の方が採択率が高いと予想される
①事業再構築補助金の方が対象経費の幅が広い
事業再構築補助金の対象経費を見ると、建物費、建物改修費、研修費、広告宣伝費など、ものづくり補助金にはない費目があります。
特に建物費や建物改修費は過去の他の補助金にもなかった費目で、非常に幅広い経費を対象にするという意向が伝わってきます。
②事業再構築補助金の方が採択率が高いと予想される
事業再構築補助金は予算が1兆1,485億円となっています。
55,000件の採択を予想しているという事なので採択率は高くなる見込みです。
ここまでの大規模な予算を組まれる補助金は前代未聞です。つまり採択率が高いことが予想されます。
事業再構築補助金の要件とは
そうなってくると、事業再構築補助金の要件を満たせるかどうかという点がポイントになってきます。
要件はいくつかありますが、ポイントとなる要件は以下の2つだと考えています。
※こちらは通常枠の要件です。
定量要件:
申請前の直近6ヶ月間のうち、任意の3ヶ月の合計売上高が、コロナ以前の同3ヶ月の合計売上高と比較して10%以上減少している中小企業等定性要件:
補助金の趣旨である「新分野展開や業態転換、事業・業種転換等の取組、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等」の取組である
定量要件は可否が明確ですが、定性要件は判断が悩ましいです。
概要資料では15の活用イメージが掲載されています。
ここから見えてくるのは、ポストコロナ・ウィズコロナ時代に合わせて事業構造を思い切って転換する取組であるという事です。
そのため、既存事業の延長線上の取組では対象にならないと思われます。
ものづくり補助金より、さらに革新性が求められるというイメージです。
まとめ
ここまで述べてきたように、事業再構築補助金の要件に合致する事業者様は事業再構築補助金の申請を検討されるのが良いと思います。
事業再構築補助金の要件に合致しない事業者様は他の補助金の申請ができないか、ご検討されるのが良いと思います。
最後に、申請を検討されている方はJグランツ(電子申請システム)のアカウントを取得しておきましょう。
取得には2~3週間かかるので3月公募を検討するなら、すでにアカウントの取得を進めておく必要があります。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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