中小企業の採用事情と採用活動の留意点
2021年03月15日 / 最終更新日 : 2020年12月30日今回は中小企業の採用事業と採用活動の留意点です。
中小企業の採用事情
中小企業にとって人材の確保と定着は悩みの種であることが多々あります。とりわけ新卒の採用には費用がかかり、教育には費用のほか人手と時間がかかります。新卒者のみのデータになりますが、マイナビ「2019年卒企業新卒内定状況調査」では、非上場企業の採用費総額平均が375.1万円、入社予定一人あたりの採用費平均は48.4万円となっています。
採用は大きな出費ですが、人が居なくては事業が継続できません。今、後継者がいないことも含めて、企業の人手不足は深刻な社会問題となっています。2020年4月24日に発表された2020年版「中小企業白書」の第1章中に、従業員規模別に見た人員の過不足状況についての記載があります。0~5名規模だと「過剰」・「適性」が約60%で不足が約40%と、辛うじて人員をやりくりしている状況が想像出来ますが、6名以上の規模だと過半数が「不足」と回答しています。301名以上規模になると72%の企業が不足だと答えました。
良い会社には良い人材が必須です。世界的に有名なある企業の方は、どんな会社が良い会社の条件だと思いますか?という問いについて「365日採用を行っている会社だと思います」と回答されました。それはそうだろう、採用活動は行いたい、もしくは行わなければならないが費用対効果が見込めない、ということで採用活動に関し中々決断に踏み込めない経営者の方もいらっしゃると思います。中小企業の採用に関してある機関の紹介と、雇入れ前に検討しておくべきことをご紹介いたします。
求人も、求人に関する助言・支援・指導も無料の採用活動とは
採用活動については、ハローワーク(正式名称は公共職業安定所と言います)の利用が一般的です。利用したことが無い方へ説明しますと、ハローワークは、厚生労働省が都道府県毎に組織された労働局の職業安定部が設置する雇用に関した国のサービス機関です。求人票を掲出することももちろん出来ますし、求人者である企業側に対する助言・支援・指導等も行っています。これらのサービスは無料で利用が出来ます。
利用したけど上手く行かなかった……という方へ
ハローワークを利用したことはあるけど応募が少なかった、思うような人材が来なかった、という方は次に紹介する採用前に検討しておくべきことをご確認ください。
人を採用する際には労働条件を明示しなければならないことが労働基準法で定められています。ここでいう労働条件は①労働契約の期間、②就業の場所・従事する業務の内容、③始業・終業時刻、所定労働時間(残業)の有無、休憩時間、休日、休暇、交代制勤務をさせる場合それに関する事項、④賃金の決定・計算・支払の方法、賃金の締め切り・支払いの時期に関する事項、⑤退職に関する事項(解雇の事由を含む)、以上の5点です。これらを書面や印刷出来るメール・FAX等で明示しなければなりません。ほか、退職手当や賞与等の事項もありますが、口頭でも良いとされています。ですが、ハローワークに求人票を掲出する際は記入・入力が求められますので事前に検討しておいた方が良いでしょう。
求職者が特に気になる労働条件2点!
特に、「労働契約の期間」と「社会保険加入有無」は求人側が思う以上に求職者は気にしていることが多いです。労働契約の期間は、1年を超えるか否かが求職者にとって再就職手当受給の要件となります。1年ちょうどの契約だと、再就職手当の要件は満たしません。とにかく応募してほしい、という場合は労働契約の期間を1年超にすると良いかもしれません。
次の社会保険加入有無ですが、これは定着に大きく関係してくると思います。社会保険に加入していない場合、国民年金や国民健康保険の保険料を労働者が自身で支払います。社会保険に加入していると、労働者は国民年金の上乗せの厚生年金保険に加入できるうえ、年金と健康保険の保険料の半分を事業主が支払ってくれます。長期的に勤めたいという求職者ほど、社会保険の加入を気にします。労働条件について検討を重ねることで、良い結果を生む採用活動に繋がり、内定から労働条件の明示までスムーズに行えることとなるでしょう。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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