資金繰り表(その2)エクセルで作成する作り方
2021年03月10日 / 最終更新日 : 2020年12月30日中小企業診断士の山田盛史です。
前編となる前回の記事では資金繰り表の内容や構成について解説しました。後編となる今回は資金繰り表の作り方を解説します。
資金繰り表の作り方
前回の記事では以下のフォーマットをご紹介しました。
上記は一部修正しましたが、弊社が使っているフォーマットです。
弊社の場合は、資金繰り表と案件管理表が連動するようにエクセルで作成しています。
案件管理表に案件名や案件金額、売上月と入金月を入力するようにしていて、案件管理表を入力すると自動で資金繰り表の営業収入の項目が数値計算されるようにしています。
資金繰り表は、一般に過去3~6ヶ月くらいの実績と今後6ヶ月くらいの将来の計画を作るというケースが多いです。
資金繰り表の過去実績をどのように作るか
まず、資金繰り表の実績の作り方です。実際に資金繰り表の作成方法は色々とあるのですが、私は預金通帳をもとに集計する方法が分かりやすいため、預金通帳をもとに作成しています。
預金通帳を見ると、いつどこにいくら入金や出金があったのか分かるので、それをもとに資金繰り表のフォーマットに数値を集計して入力していきます。注意点は預金通帳に支払い先の名称が具体的に記載されていないことも多いため、どこに支払ったのかが分かりにくい場合は備忘録として、何の支払いなのかを通帳やネットバンキングの備考欄に記載・入力しておくと良いと思います。
資金繰り表の将来計画
①営業収支と投資収支
続いて資金繰り表の今後の計画部分ですが、営業収支については現在の売掛金の回収がいつになるかを考えて現在の売掛金の入金を把握します。また、今後の各月の売上高計画を作り、売上高を参考に入金月を考えます。例えば、売上の翌月末に入金される場合はN月の入金額はN-1月の売上高という事になります。
実際には取引先によって回収条件が違うため一概に翌月末になるという単純なものではないと思いますが、あまり厳密にやると手間が掛かり継続することが難しくなるため、まずはざっくりとした数値を入力していけば良いと思います。慣れてきたら管理の精度を上げればよいのです。
営業支出の項目も同様に現在の買掛金などの債務の支払月をもとに出金月や金額を把握します。また、今後発生する支出も加味して計画値を決めて行きます。収入に比べて支出は項目数が多くなるため、管理や集計に時間が掛かります。
そこで、固定費と変動費に分けて考えることも一つのやり方です。人件費や地代家賃などは定額発生する固定費とみなして毎月一定額を支払うと考えて将来計画を立てます。毎月支払いが変動し、かつ金額も大きな支出のみ実態に即した計画値を精査して支出額を決めるというやり方です。ただ、人件費については雇用する計画や賞与、社会保険料の支払いのタイミングで支出が増えることに注意が必要です。
②財務支出
財務支出については各金融機関が発行する返済予定表を確認すれば、月毎の元金返済が分かるので、返済予定表を見て今後の返済額を入力します。営業収支と投資収支、財務支出を入力してみて月末現預金がショートしたり、極端に少なくなる場合は追加の借入を検討したり、営業支出のなかでコスト削減によって減らせる支出がないか、取引先の回収や支払いを早めたり、遅らせたりできないかなどの資金繰り策を検討していきます。
税金の支払いに注意
資金繰り表を作成する時に漏れやすく、かつ資金繰りに大きな影響を与えるのが税金です。税金といっても色々ありますが、主要なものは法人税等や消費税などがあります。
法人税等は決算月から2~3ヶ月後前後に納付するケースが多いです。
消費税は売上によって預かった消費税と仕入れ等によって支払った消費税の差額を納めることになります。また、納める金額によって何回に分けて納付するか変わります。
税金の支払いについて、詳細を把握したい場合は顧問税理士の先生に確認するのが良いと思いますが、まずは概算のレベルで前年度の納付実績をもとに、いつごろ、いくらくらいの支払いが発生したかを把握しておくといった形でも良いと思います。
まとめ
今回2回に分けて資金繰り表について解説してきました。経営者様ご自身で一度は作成にトライされるのが良いと思います。当然、最初は正確ではないかもしれませんが、ご自身が会社の資金の流れを理解し資金繰りの感覚を養うことができます。正確性にこだわらず、ますは手を動かしながら考えてみるということが重要だと思います。数字で経営できる経営者になりましょう。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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