サンクコストとは?具体例や経営の意思決済に対する影響について解説

2025年01月30日 / 最終更新日 : 2024年12月04日

サンクコストは、過去に払ってしまい、もはや取り戻すことができない費用のことで埋没費用とも言われます。撤退した方が合理的な判断と思われる場合でも、サンクコストを惜しみ、なかなか撤退の判断が出来ない状況があります。
この記事ではサンクコストについて解説します。


サンクコストとは何か?

サンクコスト(Sunk Cost)とは、既に支出され、回収不可能な費用のことを指します。ビジネスや経済学の分野でよく使われる概念であり、意思決定の際に重要な役割を果たします。サンクコストは、過去の投資や支出が将来の意思決定に影響を与えるべきではないという考え方に基づいています。


サンクコストの具体例

サンクコストの具体例として、以下のようなものがあげられます。

1. プロジェクトの中止

ある企業が新製品の開発に多額の資金を投入したとします。しかし、市場調査の結果、その製品が成功する見込みが低いことが判明しました。この場合、既に投入された資金はサンクコストとなります。企業はこのサンクコストを無視し、プロジェクトを中止するかどうかを判断する必要があります。

2. 映画のチケット

映画のチケットを購入した後、映画が始まる前に友人から急な誘いを受けたとします。この場合、既に支払ったチケット代はサンクコストです。友人との時間を楽しむか、映画を観るかの選択は、チケット代を考慮せずに行うべきです。


サンクコストの心理的影響

サンクコストは、心理的な影響を及ぼすことがあります。人々は、既に支出した費用を無駄にしたくないという感情から、非合理的な意思決定をすることがあります。これを「サンクコスト効果」と呼びます。
サンクコスト効果の例としては以下のような状況が挙げられます。

1. カジノでのギャンブル

ギャンブラーが既に多額の資金を失った場合、損失を取り戻そうとさらに賭けを続けることがあります。これは、既に失った資金を無駄にしたくないという心理から来ています。

2. 長期的な関係

長い間、続けてきた取引関係がうまくいかなくなった場合でも、過去の投資(時間、感情、資金)を無駄にしたくないという理由で関係を続けることがあります。


サンクコスト効果を無視する方法

サンクコスト効果を無視することは、合理的な意思決定を行うために重要です。以下の方法を用いることで、サンクコストの影響を最小限に抑えることができます。

1. 未来志向の意思決定

過去の投資を考慮せず、将来の利益やコストに基づいて意思決定を行うことが重要です。例えば、プロジェクトの中止を検討する際には、今後のコストと利益を比較して判断します。

2. 感情を排除する

感情が意思決定に影響を与えることを避けるために、客観的なデータや分析に基づいて判断することが重要です。例えば、映画のチケットを購入した後に友人からの誘いを受けた場合、感情に流されずにどちらが自分にとって価値があるかを冷静に考えます。

3. 第三者の意見を求める

自分自身の判断がサンクコストに影響されていると感じた場合、第三者の意見を求めることが有効です。第三者は感情的なバイアスを持たないため、客観的なアドバイスを提供してくれます。


サンクコストのビジネスへの影響

サンクコストは、ビジネスにおいても重要な影響を及ぼします。企業がサンクコストを無視できない場合、非効率なプロジェクトや投資を続けることになり、結果として企業の競争力が低下する可能性があります。
サンクコスト効果の影響を受けた企業の例として、以下が挙げられます。

1. ITプロジェクトの失敗

多くの企業がITプロジェクトに多額の資金を投入していますが、プロジェクトが失敗することも少なくありません。サンクコストを無視できない企業は、失敗したプロジェクトにさらに資金を投入し続けることがあります。これにより、他の有望なプロジェクトへの投資が遅れることがあります。

2. マーケティングキャンペーン

ある企業が新製品のマーケティングキャンペーンに多額の資金を投入したとします。しかし、キャンペーンが期待通りの成果を上げない場合、サンクコストを無視できない企業は、さらに資金を投入してキャンペーンを続けることがあります。これにより、他の効果的なマーケティング戦略への投資が遅れることがあります。


サンクコストを考慮した戦略的意思決定

サンクコストを無視することは重要ですが、完全に無視することが難しい場合もあります。そのため、サンクコストを考慮しつつ、戦略的な意思決定を行う方法もあります。

1. 段階的な投資

大規模なプロジェクトや投資を行う際には、段階的に資金を投入することが有効です。これにより、プロジェクトの進捗を評価し、必要に応じて中止や修正を行うことができます。

2. リスク管理

サンクコストを最小限に抑えるために、リスク管理を徹底することが重要です。リスクを評価し、適切な対策を講じることで、サンクコストの影響を軽減することができます。

3. 柔軟な戦略

サンクコストを考慮しつつ、柔軟な戦略を採用することが重要です。市場の変化や新たな情報に基づいて戦略を修正することで、サンクコストの影響を最小限に抑えることができます。


まとめ

サンクコストは、既に支出され回収不可能な費用を指し、意思決定において重要な概念です。サンクコストを無視することは、合理的な意思決定を行うために不可欠です。しかし、心理的な影響や感情が意思決定に影響を与えることがあるため、未来志向の意思決定や感情を排除する方法を用いることが重要です。

ビジネスにおいても、サンクコストを無視できない場合、非効率なプロジェクトや投資を続けることになり、企業の競争力が低下する可能性があります。そのため、段階的な投資やリスク管理、柔軟な戦略を採用することで、サンクコストの影響を最小限に抑えることが重要です。

サンクコストを理解し、適切に対処することで、より効果的な意思決定を行い、ビジネスの成功に繋げることができるでしょう。


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