SWOTを実践的戦略に変え未来を切り拓くTOWS分析の力

2026年01月30日 / 最終更新日 : 2026年01月23日

企業の戦略立案に欠かせないフレームワークの一つがSWOT分析です。しかし、SWOT分析だけでは「強みや弱みを棚卸ししたところで、具体的にどう戦略につなげればいいのか?」という課題が残ります。そこで重要になるのが、SWOT分析を発展させ、4要素を組み合わせて具体的な戦略として落とし込む手法「TOWS分析(TOWS Matrix)」。
TOWS分析は、内部要因(強み・弱み)と外部要因(機会・脅威)を“掛け合わせ”ることで、企業が取るべきアクションを明確にします。曖昧な状態から抜け出し、自社に最適な戦略を見つけたい経営者にとって、TOWS分析は極めて強力な武器となるでしょう。本記事では、TOWS分析の特徴、SWOTとの違い、戦略の導き方、実務での使い方までわかりやすく解説します。


1. TOWS分析とは何か──SWOTの次にやるべき“戦略構築の型”

TOWS分析とは、
SWOT分析で洗い出した強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)を組み合わせ、4つの方向性から戦略を導き出す手法です。

SWOTが「状況を整理する分析」であるのに対し、TOWS分析は「戦略を作る手法」。
つまり、SWOTの結果を“実際の行動に変換するプロセス”こそがTOWS分析です。

この4象限を元に戦略を作ります:

  • SO戦略(Strength × Opportunity)
    強みを活かして機会をつかむ“攻めの成長戦略”
  • ST戦略(Strength × Threat)
    強みを武器に脅威に対抗する“競争優位戦略”
  • WO戦略(Weakness × Opportunity)
    弱みを克服して機会を取りに行く“能力強化戦略”
  • WT戦略(Weakness × Threat)
    弱みと脅威が重なる領域で損失を回避する“防衛・撤退戦略”

これらの戦略方向性が明確になることで、経営者は“何を優先すべきか”を判断できるようになります。


2. SWOTとTOWSの違い──戦略が生まれないSWOTの限界

SWOT分析は非常に有用なフレームワークですが、以下のような限界があります:

① SWOTだけでは“ただのリスト”で終わりがち

強み・弱み・機会・脅威を出しても、「それで何をすればいいのか」が曖昧になりがちです。

② 戦略が主観的になりやすい

SWOTをした後の戦略判断が、担当者の経験や感覚に依存してしまいます。

③ 要素同士の関連性が見えづらい

例えば“S1の強みを使ってどのOを取りにいくべきか?”といったつながりが整理されにくい。

TOWS分析はこれらの問題を補い、SWOTに“戦略性”を与える分析手法です。


3. TOWS分析の4つの戦略タイプ

ここでは、TOWS分析の核となる4つの戦略を詳しく解説します。

① SO戦略──強みで機会をつかむ「最も攻めやすい」戦略

SO戦略は、企業が最もエネルギーを投下すべき領域です。
強みと機会が重なるため、成功確率が高いのが特徴。

SO戦略の事例

  • 高い技術力 × 新市場の拡大
  • ブランド力 × 高付加価値商品の需要増加
  • 営業力 × 追い風の業界トレンド

企業成長のエンジンとなる戦略がここから生まれます。

 

② ST戦略──強みを使って脅威を跳ね返す競争戦略

市場の脅威に対し、強みを武器にしながら戦う戦略です。

ST戦略の事例

  • 新規参入企業増加 → 顧客ロイヤルティ強化で守る
  • 市場価格の下落 → 品質やサービスで差別化
  • 規制強化 → 法律対応力や内部統制の強化

競争優位を維持するための施策がここで導かれます。

 

③ WO戦略──弱みを克服して機会を取りに行く組織強化戦略

機会は存在するが、弱みが邪魔をして飛び込めない時に必要なのがWO戦略です。

WO戦略の事例

  • 生産性が低い → DX導入で業務効率化
  • 営業力不足 → パートナー企業と協業
  • チームの専門性が不足 → 人材教育や採用を強化

組織開発や構造改革が主なテーマになります。

 

④ WT戦略──損失を最小化する守りの戦略

最も危険な領域が「弱み × 脅威」。WT戦略では防衛や撤退を判断する場合もあります。

WT戦略の事例

  • 利益が出ない事業 → 撤退や縮小
  • 生産体制が脆弱 → 外注化でリスク軽減
  • 人材不足 × 市場縮小 → 業務の統廃合や自動化

企業の財務や体力を守るために必要な戦略です。


4. TOWS分析の実践ステップ──経営に落とし込む方法

TOWS分析を経営に活かすためには、次の6ステップが有効です。

ステップ1:SWOT分析を丁寧に行う

質の高いTOWSは、質の高いSWOTから生まれます。
関係部署の意見を集め、客観性を担保することが大切です。

ステップ2:要素の優先順位を決める

強み12個、弱み8個…と大量に洗い出す企業もありますが、
実際に使うのは上位3〜5個で十分です。

ステップ3:マトリクスを作成する

S×O、S×T、W×O、W×Tの組み合わせごとに戦略案を作成します。

ステップ4:戦略候補の評価

以下の観点で評価することで、戦略の優先順位を決められます:

  • 成果のインパクト
  • 実現の難易度
  • 投資コスト
  • 期間
  • 他戦略との整合性
ステップ5:アクションプランに落とす

戦略を具体的な施策として落とし込み、
担当者・期限・KPIを明確にします。

ステップ6:定期的な見直し

TOWS分析は一度で終わるものではありません。
市場環境が変われば戦略も変わるため、半年〜1年ごとの見直しが理想です。


5. TOWS分析を成功させるポイント

① 分析を“机上の空論”で終わらせない

SWOTやTOWSが形骸化する原因の多くは、実務に落ちていないこと。
現場の声やデータを基に本質を整理することが重要です。

② 戦略は「選ぶ」だけでなく「捨てる」ことが鍵

TOWSは戦略候補を多く生み出しますが、焦点を絞らなければ資源が分散してしまいます。

③ 経営者が旗印を示す

TOWS分析は組織全体に広く関わるため、トップが方向性を示すことで推進力が生まれます。

④ 強みと弱みの“定義”を間違えない

強みは“他社より優れている点”、弱みは“他社より劣っている点”。
内部で勝手に決めず、市場視点で判断することが重要です。

⑤ 戦略同士の矛盾を排除する

SOで攻め、WTで撤退…というような矛盾が起きないよう、戦略の整合性を必ず確認します。


6. TOWS分析がもたらす企業価値──なぜ今必要なのか?

TOWS分析の価値は、単なる分析手法に留まりません。

① 経営の意思決定が早くなる

戦略の方向性が整理されているため、経営会議での合意がスムーズになります。

② 組織の連携が強くなる

強みや弱みを共有することで、部署間の理解が深まり、共通目標ができます。

③ リソース配分が最適化される

「今、何に投資すべきか」が明確になり、ムダなコストが減ります。

④ 経営リスクに強くなる

脅威に対して事前に戦略を立てているため、不確実な環境に対応しやすくなります。

⑤ 変化の激しい時代にマッチする

AI、DX、国境を越えた競争など、変化が激しい現代では、
TOWSのように“柔軟かつ体系的な戦略立案”が求められています。


7. まとめ──TOWS分析は「SWOTを戦略に変える最強の橋渡し」

SWOT分析は企業の状況を整理するための強力なフレームワークですが、
そこからどう戦略を生み出すかは別のプロセスが必要です。

TOWS分析はそのギャップを埋めるための手法であり、
SWOT → TOWS → アクションプラン
という流れを作ることで、戦略が“実行できる形”になります。

  • 強みを活かす
  • 弱みを克服する
  • 機会をつかむ
  • 脅威に備える

そのすべてを体系化し、最適な戦略を導くことができるのがTOWS分析の強みです。

変化の激しい時代だからこそ、
TOWS分析は経営者にとって欠かせない戦略ツールになっていくでしょう。



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