運転資金と資金繰りの関係性は?用語の定義から解説

2021年05月15日 / 最終更新日 : 2021年05月12日

事業を営んでいると、会計用語だけでも沢山の言葉が出てきて、どれが何の意味だったかすぐに思い出せなくなってしまうことがありますよね。
今回は、「運転資金」と「資金繰り」という2つの言葉に着目して、それぞれの言葉の定義や、どのような場面で使われるのかを理解し、事業経営に考え方を活かせるよう、解説していきます。


用語の定義

運転資金

「運転資金」は、事業を続けていくために必要な資金のことを指します。具体的には、従業員の給料や、事務所のランニングコスト、仕入債務の支払いなどが挙げられます。

資金繰り

「資金繰り」は、運転資金の管理全般を指します。具体的には、現金預金管理や売上債権管理、仕入債務管理などが挙げられます。

望ましい運転資金の額

ここでは、実際に運転資金がどれくらいあるのが望ましいかを解説します。

運転資金の要素として最も重要なウェイトを占めるのは、売上債権です。売上債権は、会計上「売掛金」や「受取手形」として計上されるもののことです。売上債権を持っていたとしても、それが実際に回収できるのは、数日〜数ヶ月後のことになるので、回収までの期間は、手元にある資金で他の費用支払いや仕入を行っていかなければなりません。

このように、仕入れてから売上の回収までに一定のタイムラグが生じることから、望ましい運転資金の額として参考になる数字は、「売上債権と同等の金額」となります。


売上債権の金額と同等の運転資金を持っておくと安心

例えば現在、売掛金が100万円あるとします。その場合、手元に運転資金として同等の金額(100万円)がある状態であれば、その資金で新たな仕入や費用支払をすることができますので、これからも事業を正常に行えることが予想できます。

しかし、例えば売掛金が100万円あっても、手元に運転資金が20万円しかなく、そのほとんどが事業のランニングコスト(地代家賃や水道光熱費など)の支払いに使われてしまうのであれば、売掛金の回収ができるまでは仕入を行えないことになり、その後の売上も期待できなくなってしまいます。

上記の観点から、運転資金の金額が充分にあるかを常に把握しておくことが、事業を継続する上で極めて重要であることがわかると思います。

運転資金を確保するための資金繰りの方法例

運転資金がショートしてしまわないように、普段から運転資金の管理をしておくことを資金繰りの定義として説明しましたが、ここでは、実際の資金繰りの方法としてどのような物があるかを事例で解説します。

売上債権の回収スパンを早める or 仕入債務の支払を遅らせる

例えば、売上債権の回収が、請求書発行から3ヶ月後の得意先があったとします。このような場合、回収スパンを2ヶ月や1ヶ月に早めてもらえないか、打診をしてみるのも良いかもしれません。

これまでの商習慣を覆すことになりますので、業種などによってはあまり現実的ではないかもしれませんが、検討の余地はあると思います。

仕入債務については逆の立場になります。少しでも仕入債務の支払を遅らせることができれば、その分手元に資金が長く残ることになりますので、資金繰りに余裕が生まれることになります。


滞留在庫を捌けさせる

仕入れてすぐに売上にならず、売れ残ってしまった在庫のことを「滞留在庫」といいます。これをなるべく減らしていくのも、資金繰りの観点では有効な方法となります。

例えば、キャンペーンなどで値下げをして販売したり、今までターゲットにしてこなかった層にアプローチをしてみたりすることで、滞留在庫を一層し、現金化することができるかもしれません。

借り入れを実施する

金融機関等から借り入れを行うのも、資金繰りを安定させる一般的な方法の1つです。ただこの場合は、売掛債権と仕入債務の管理に加えて、借入返済と利息の支払管理も含まれるので、運転資金管理の難易度は上昇します。

返済しなければならないことを常に念頭に置きながら、よりリスクを最小限に保つための事業運営が求められます。

まとめ

今回は、「運転資金」と「資金繰り」について、用語の解説と、実際の事業での考え方について解説してきました。

事業をする上では必ずと言って良いほど必要になる考え方ですので、この機会にぜひマスターして、安定した事業運営を目指してみて下さい。

最後まで読んで頂きありがとうございました。
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