売上高の分解公式やKPIをどのように定義するか

2019年05月24日 / 最終更新日 : 2019年05月27日

こんにちは、中小企業診断士の山田盛史です。

どの会社も売上高をあげることは最重要課題の1つであり常に意識しています。
しかし、売上高というのは色々な要素の複合体であり、様々な要因が重なり合った結果、確定する数値です。

だからこそ、売上高をどのような要素に分解して何を重視して活動するのかという定義付けはとても重要です。

みなさんは自社の売上高を構成する要素をどのように捉えていますか?

今回は売上高の分解公式やKPIについて考えていきたいと思います。


売上高の分解公式とは例えばどんなものがある?

まず、売上高の分解公式とはどんなものがあるのでしょうか。
とてもシンプルなものは「売上高=数量✕単価」という考え方で、小売業や飲食店などの場合は「売上高=客数✕客単価」という表現になります。

これはどの業界にも当てはまるしシンプルで分かりやすいです。
しかし、その反面精度が粗い状態で具体的な行動まで落とし込まれていません。

そこでもう少し各要素を深掘りしていきます。もう1段階分解すると以下の公式になります。

客数を増やす方法には新規顧客を増やすという方法の他に、既存顧客の購入頻度(来店頻度)を増やすという方法があります。

客単価を増やす方法には商品の単価をあげる方法の他、買い上げ点数を増やすという方法もあります。
例えば、カフェであればコーヒー1杯だけ注文するお客様に対してついでにケーキもいかがですか?とオススメしてケーキも注文してもらうという行為がまさにそれです。


流出顧客という考え方

前述の分解公式はよく使われてますし分かりやすいですが、さらに観点を追加することができます。
それは流出顧客の考え方です。
客数を増やすという方法には「流出顧客を減らす」という観点もあります。

「穴の空いたバケツにいくら水を注いでも水は溜まりません」

いくら頑張って新規顧客を獲得しても、流出顧客が多いとなかなか売上は蓄積されていきません。

流出顧客がどれくらいいるのかというのは顧客の管理をしていないと見えてこない部分であるので、流出顧客を減らす取り組みを行う際には顧客管理も合わせてやっていかなければいけません。

顧客の流出というのは、ある程度はなからず発生するものです。
例えば、毎回行きつけの美容院があっても、転勤や引っ越しで遠方に引っ越してしまうお客様もある一定数はいます。
このような流出はお店の対策では改善が難しいのですが、お店の対応等を理由とした流出は対応次第で減らすことができます。
例えば、「来店したけど待たせすぎてしまった」「接客に満足できなかった」等です。
どんな理由で顧客が流出したかを考えて対策を検討することで売上増加につながります。


LTV(顧客生涯価値)という考え方

もう1つ売上高を考える際に意識したい観点としてLTV(顧客生涯価値)というものがあります。
これは顧客が生涯を通じて企業にもたらす売上や利益のことです。
つまり「顧客が自社の商品やサービスを使い続ける上で、支払う金額の総額」です。
一般に商品やサービスに対するロイヤリティ(愛着や忠誠心)が高いほどLTVが高まりやすいです。

LTVの算出式としては「購買単価✕購買頻度✕継続購買期間」があります。

つまり継続購買期間というのが新たな変数になります。

どのような対応を取ると顧客がより長く自社の商品やサービスを継続して利用してくれるのか、アフターフォローはどうすれば継続期間が伸びるかということを考えて対策を検討することで売上増加につながります。


LTVは投下する費用とのバランスを加味した収支を考える算式となる

LTVは顧客の継続期間に着目したもので、流出顧客は流出数に着目したものなので本質的には同じことを言っています。
LTVは売上中心の視点のみならず、費用についても考慮して検討することが効果的です。

LTVを以下のように考えます。

LTV=(購買単価✕購買頻度✕継続購買期間)-(顧客獲得費用+顧客維持費用)

例えば、30日分のサプリメントを2,000円で販売しており、顧客の継続購買期間が24ヶ月(2年)であるとすると
購買単価(2,000円)✕購買頻度(年12回)✕継続購買期間(2年)=48,000円となります。

つまり、1人の顧客を獲得すると、獲得時のみならずその後の売上も加味すると48,000円の売上が見込めるということになります。
一方で費用について、例えばこのサプリメントをネットショップで販売するならリスティング広告等の顧客獲得費用が顧客1人あたり3,000円、定期メール配信等の顧客維持費用が2,000円だとするとLTVは43,000円ということになります。

LTVが最大化するように各要素を考えていくので、どれくらいの費用をかけられるのかという収支のバランスを考慮する際にLTVは有益だと思います。

 


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