事業計画書の書き方 その4 目的別の事業計画書作成の ポイント

2021年09月30日 / 最終更新日 : 2021年08月30日

中小企業診断士の山田盛史です。
事業計画書の書き方と題して、数回に分けて事業計画書作成のポイントを解説しています。

他の関連記事はこちらです。

▼事業計画書の書き方 その1 市場規模の考え方
https://will-links.jp/?p=1287

▼事業計画書の書き方 その2 ストーリーを組み立てる
https://will-links.jp/?p=1291

▼事業計画書の書き方 その3 事業に連動した収支計画を作る
https://will-links.jp/?p=1296

今回は事業計画書の目的別のポイントを解説します。


事業計画書は様々な目的で作られる

そもそも事業計画書は目的別で変わるものなのか?と思われるかもしれません。事業計画書に記載する大項目自体は大きくは変わりませんが、事業計画書を誰に見せるのか、または事業計画書を通して何を実現したいのか。ということを踏まえると同じ事業計画書でも力を入れるべきポイントが異なります。今回は目的別に事業計画書でアピールすべきポイントについて解説します。

スタートアップやスモールビジネスでは、事業計画書の主な目的は資金調達になります。資金調達といっても、大きく分けると金融機関からの借入(デットファイナンス)とVCや投資家などからの出資(エクイティファイナンス)と2つの調達方法があります。


デットファイナンスの場合

まず、デットファイナンスでは創業者の経歴や事業実績を丁寧に示した方が良いと思います。これから創業する際の創業計画書では主に創業融資が目的になりますが、創業段階ではまだ事業実績がないので創業者の経歴や持っている資格などを特に詳しく書く必要があります。

経歴は、いままでどんな仕事を経験してきたのか?マネジメント経験があるのか?これから始める事業と自身の経歴などの関連性を出来る限り詳しく記載するようにします。すでに事業を行っている場合は、過去の損益計算書の内容(売上や利益の推移)などを記載して、どのような業績推移であるかを示します。

将来の計画は不確実ですが、過去の実績は偽りのない実力値なので過去の実績を詳しく知りたいと思う金融機関は多いです。

また、将来の数値計画は過去の実績値を考慮した現実的な数値計画を記載するのが良いと思います。例えば、過去3カ年の売上高は減少傾向であるにも関わらず計画1年目から急激に売上高が上昇する計画は不自然に映ります。

もちろん、急激に売上高が上がるしっかりとした理由があれば良いのですが、希望的観測ではなく現実的な固めな数値計画の方が金融機関には好まれると個人的には思います。
言い方を変えると、現実的で固めな収支計画を作っても、しっかりと利益が出て、借入金の返済も問題がないと思えるような事業計画を考えるのが好ましいと思います。


エクイティファイナンスの場合

エクイティファイナンスの場合は、どんな事業を行うのか、といった事も重要ですが、誰がその事業をやるのかも重要視されます。つまり起業家自身や経営陣の経歴も詳細に記載します。

資金調達のステージにもよりますが、まだ事業のアイデアしかない、いわゆるエンジェルラウンド(エンジェル期)や、事業を立ち上げたばかりのシードラウンド(シート期)では事業に投資するというよりは、起業家自身に投資をするという方が近いので、どんな起業家が事業をやるのかという部分は詳しく知りたいと思うポイントです。

例えば、IPO経験があるとか、過去にも起業経験があって、事業を大きくさせてM&Aで売却した経験がある。または、事業を行おうとしている業界に精通しているとか、何かしら事業の成功や将来性を感じさせるようなことをアピールしたいものです。

また、エクイティファイナンスでは市場規模をしっかりと定義して今後事業が拡大すること、成長できる見込みがあることを説明する必要があります。市場規模については「事業計画書の書き方 その1 市場規模の考え方」でも解説したTAM、SAM、SOMの考え方を用いて狙う市場を説明しましょう。

エクイティファイナンスでは出資する投資家やVCは事業の成長に対して出資を行うので、成長性のある魅力的な市場であること、順調に成長している事業であり、魅力的な経営チームであることなど成長性をアピールすることが求められます。


補助金の場合

事業計画書は補助金申請の際にも作成が必要になります。補助金の場合は、まずは申請する補助金の目的や主旨を理解して、補助金の主旨に合致した事業計画の内容にすることを意識することが重要です。

各補助金によって、補助金審査において評価する項目が異なります。そのため、評価項目となっている内容は漏らさずにしっかりと内容を記載するようにします。補助金の目的や主旨、審査の項目については各補助金の公募要項に記載があるので公募要項をしっかりと読み込んで理解しましょう。

各補助金によって重視される点は異なりますが、補助金全体に共通しているポイントがあります。それは公益性を意識することです。補助金は税金が原資になっています。税金を特定の企業に補助金として支給するため、事業を推進することで、単に特定の企業や個人が儲かるというだけではなく、広く一般の社会や地域経済に良い影響を与えられるということを説明すべきです。

例えば、事業を拡大させて積極的な雇用を行い、地域の雇用を創出するとか、賃上げを行って雇用環境や従業員の処遇の改善を図るなどです。その他、地域の特産品を活用した事業であれば地域資源を活用した事業ということで地域経済にも良い影響を与えるでしょう。

このように公益性という観点も意識して事業を行った際の成果やメリットを記載するのが良いです。


まとめ

いかがでしたでしょうか。事業計画書といっても目的によって、力を入れるべきポイントは変わってきます。
経営者の皆様も目的によって最適な事業計画書を作成することを意識されると、その分、目的を達成しやすくなると思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。
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