BCP(事業継続計画)とは?具体的な対策の内容や策定手順について分かりやすく解説

2023年11月20日 / 最終更新日 : 2023年11月01日

BCPは事業の長期的な継続に欠かせない取り組みです。近年の大地震や水害をうけて、共感する人も多いでしょう。しかし、実際には、どんな手順でどのように取り組めば良いのか悩んでいる人もいるのではないでしょうか。本記事では、基礎知識としてBCPの対象となる資産や検討すべき対策について解説しています。後半では実際の策定手順についてもご紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。


BCP(事業継続計画)とは

BCP(事業継続計画)とは、「Business Continuity Plan」の頭文字を組み合わせた言葉です。自然災害やテロ行為などの人的災害があった場合にも、企業の損害を最小限におさえ、事業の継続や早期復旧に備えた対策を意味します。2011年の東日本大震災や2020年の新型コロナウイルスの拡大などの影響により、世間の関心も高まりました。現代においては、企業が事業を継続するために必要不可欠と考えられています。

BCPの対象となる資産

BCPは企業全体の資産が対象となります。災害前と同じ、平常時の活動継続を目的としているからです。活動継続に必要となる資産は大きく4つに区別できます。次の4つの資産です。

人的資産 従業員の安全や健康など
物的資産 ビルや工場などの施設、社内の物品など
金融資産 現金や保険、株式など
情報資産 顧客の情報や取引先の情報など

各資産に適切な対策がとられていれば、緊急事態の状況でも落ち着いた対応が可能となるでしょう。


BCPで検討すべき具体的な内容

BCPの実施は、資産に応じた適切な対策が必要です。また、優先順位を定めるなど、自社に適した対策を検討しなければいけません。具体的な検討事項は以下を参考にすると良いでしょう。

人的資産
  • 従業員の安全を確保するための災害対応計画は作成されているか
  • 勤務時間外の災害時に従業員と連絡手段が定まっているか
  • 避難訓練や救命講習は実施されているか
物的資産
  • 企業の施設は災害に耐性があるか
  • 周辺環境の危険を把握しているか
  • 施設や物品に損害があった場合の代替案は定まっているか
金融資産
  • 1週間や1カ月など、事業中断時の損失を把握しているか
  • 加入している保険は適切か
  • 緊急事態に備えた操業資金を確保しているか
情報資産
  • 情報のバックアップはとられているか
  • バックアップは分散して管理しているか
  • 取引先や関係機関など緊急時に情報を発信・収集する方法を備えているか

紹介した検討事項は一例です。企業によって必要な対策は異なるため、社内で充分に検討して取り組んでください。


BCPの策定手順

BCPの策定手順は4つです。手順を理解していれば効率的に進行できます。以下の4手順を自社に当てはめて、BCPの進行を具体的にイメージしてみてください。

1.方針の設定:企業としての目的や基本方針を定め、従業員や菅家者と共有します
2.リスクの選定:自社にとって「最大の脅威とは何か」などを検討し、対策する優先順位を定めます
3.対策の決定:リスクに対してどのような対策を実施するのか決定します
4.BCPの改善:定期的にBCPを見直し、現状に適した対策へと改善します

BCPは事業が継続する限り、持続的に必要となります。短期的な完成を目指すのではなく、改善をくわえた長期的な運用が重要です。従業員の育成や関係者への共有も含め、少しづつでも着実に実行していきましょう。


まとめ

BCPは、緊急時における被害減少や事業継続を目的とした取り組みです。緊急事態が訪れる前に対策をおこなうことで、大きな効果が期待できます。また、社会的関心も高まっているため、単なる事業継続の手段にとどまりません。事業中止による取引先や顧客のリスクも回避できるため、社会的信用が高まり企業価値の向上も望めます。「欠点のない完璧な対策をしなければ」と気負わずに、できることから始めていきましょう。


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