減価償却費の計算で最初に理解しておくべき2点を解説

2020年12月30日 / 最終更新日 : 2020年10月08日

会社で経理をしていたり、簿記の勉強をしていると、必ず出てくる「減価償却費」。
理解してしまえば応用が効きやすいところではありますが、計算がやや特殊で、とっつきにくい部分があるのもまた事実。
そこで本記事では、減価償却費でまず最初に理解しておくべき2つの項目(計算方法、計上のしかた)を、わかりやすい事例と共に解説していきます。


減価償却とは

会計の世界では、「費用収益対応の原則」という、揺るがしようのない原則が存在します。簡単に説明すると、「一会計年度(通常は1年間のことを指します)において費用と収益を対応させること」となります。

例えば、200万円の車を購入したとしましょう。この場合車は、1年以上使用されると考えられるでしょう。この仕訳を行う際に、購入年度に一括で費用計上するのではなく、使用されるであろう期間に応じて、特定の計算方法によって、数年に渡って費用を分けて計上することが決まりとなっています。この考え方を「減価償却」と呼びます。


計算方法(定額法と定率法)

まずは、どのようにして減価償却費の計算をするのかを、先程の車の例を使って説明していきます。
本記事では、減価償却費の計算方法でまず押さえるべき2つの方法を中心に解説します。

①定額法

定額法は、「単純な割り算」です。これだけでOKです。
早速、実例をもとに解説します。

200万円の車を購入し、これを4年で償却する(つまり、4年間かけて200万円を費用化する)としましょう。
定額法という名のごとく、毎年、同じ金額を減価償却費として計上するため、毎年の減価償却費を求める計算式は、下記のようになります。

200万円 ÷ 4年 = 50万円

したがって、1年目から4年目まで、毎年50万円を減価償却費として計上することになります。

②定率法

これに対し、定率法は、毎年決まった「償却率」で償却をしていくことになります。この「償却率」については、減価償却資産の償却率表(国税庁)という資料があり、これに沿って求めていくことになります。

先ほどの例(200万円の車を4年で償却)の場合、償却率は「0.625」となり、資産価額について、償却率を毎年乗じて、減価償却額を求めます。実際に求めたものが下記の通りです。

1年目:200万円 × 0.625 = 125万円

車の残りの帳簿価額 = 200万円 – 125万円 = 75万円

2年目:75万円 × 0.625 = 468,750円

車の残りの帳簿価額 = 75万円 – 468,750円 = 281,250円

3年目:281,250円 × 0.625 ≒ 175,781円(円未満は切り捨てます)

車の残りの帳簿価額 = 281,250円 – 175,781円 = 105,469円

4年目:残りの105,469円を償却

これを見てもわかるように、定率法は、初年度の償却額を定額法よりも多めに計上される、という特徴があります。


その他の減価償却方法もある

上記2通りが減価償却計算の主流ですが、他にも、「級数法」や「生産高比例法」などがあります。あまり一般的ではないため、ここでは説明は割愛します。

計上のしかた(直接法と間接法)

次に、実際に計算した減価償却費を仕訳として計上する際に、どのような仕訳になるのか、その方法について解説します。
ここでは、先程の例に従って、購入年度(1年目)に定額法で50万円の減価償却費を計上する際の仕訳を行っていきます。

①直接法

直接法は、資産減少額(=減価償却費の価額)を、直接減少したものとして仕訳する方法です。仕訳例は下記の通りです。

 

借方科目 金額 貸方項目 金額
減価償却費 500,000 車両運搬具 500,000

 

資産価値減少額を、減価償却費で直接減少させるため、直接法と呼ばれます。

②間接法

これに対し、間接法は、資産価額を直接減少させず、一時的に「減価償却累計額」という科目を使って減価償却費を計上することになります。仕訳例は下記の通りです。

 

借方科目 金額 貸方項目 金額
減価償却費 500,000 減価償却累計額 500,000

 

貸借対照表には、資産価値減少額の合計が、「減価償却累計額」という科目によって明示され、車両運搬具自体の帳簿価額は減少しません。したがって、間接的に減価償却を認識することになり、このことから、間接法と呼ばれます。


おわりに

減価償却費の計算で最初に理解しておくべき2点について解説しました。実務における減価償却計算時には、残存価額(備忘価額)や特例の適用(少額減価償却資産・一括償却資産、特別償却等)など、他にも減価償却の計算を惑わせる様々な問題があります。しかし、今回解説した基礎的部分を抑えておくことが、応用的部分の理解に繋がってきますので、ぜひ、今回解説したところは理解してほしいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。



——————————————————-
▼経営者の想いに寄り添った伴走型支援

当社は複雑化する経営課題を解消するための対策について経営者の想いに寄り添い、
経営者の傍らで一緒に考え、そして励まし成長し合いながら共に走り続ける
中小企業経営者の良き伴走者となります。

中小企業に即した現実的な経営支援を行っております。
こちらからお気軽にご相談ください。

ウィルリンクス中小企業診断士事務所
(経済産業省認定 経営革新等支援機関)

お問い合わせ




経営者の想いに寄り添った伴走型支援

当社は複雑化する経営課題を解消するための対策について経営者の想いに寄り添い、経営者の傍らで一緒に考え、そして励まし成長し合いながら共に走り続ける中小企業経営者の良き伴走者となります。
中小企業に即した現実的な経営支援を行っております。こちらからお気軽にご相談ください。
ウィルリンクス中小企業診断士事務所(経済産業省認定 経営革新等支援機関)