改正育児介護休業法・雇用保険法とは?~経営者が知っておきたい労働法規~

2021年10月25日 / 最終更新日 : 2021年09月27日

労働に関する法律は近年、様々に改正されています。今回は育児介護に関する労働にまつわる法律について解説します。



改正育児介護休業法・雇用保険法、何が変わる?

2021(令和3)年6月、改正育児介護休業法・雇用保険法が成立・交付されました。男性労働者の育児休業(以降、育休)取得を促すために、子の出生直後に柔軟に取得できる「出生時育児休業」の創設や事業主・経営者に対して育休を取得しやすい職場環境の整備を義務づける改正内容となっています。

 

“ざっくり”改正内容

  1. 出生時育児休業の創設
  2. 出生時育児休業給付金の創設
  3. 育休の取得しやすい職場環境の整備
  4. 有期契約労働者の取得要件緩和



育休について

それぞれの改正内容を詳しく見る前に、「育休」について簡単に解説します。

育休は子を養育する労働者のための休業制度です。原則、雇用保険の被保険者である女性労働者は産後休業8週間後にあたる57日目から、男性労働者は子が出生したときから取得することが出来ます。また、育休期間中に育児休業給付金を受給することが出来ます。

育児休業給付金は開始から180日目まで給与の約67%、180日後は約50%が支給されます。その間、給与を得ていた場合は給付額に調整が入ります。

 

育休の取得率は2018(平成30)年時点で女性82.2%、男性6.16%となっています(令和2年版厚生労働白書より)。厚生労働省は、今回の法改正により2025(令和7)年までに男性の育休取得率を30%まで引き上げることを目標としているようです。

 

改正1.出生時育児休業の創設

施行:交付日(2021年6月9日)から1年6ヶ月を超えない範囲

改正で創設される出生時育児休業は女性労働者の産後休業期間に相当する8週間を対象に、男性労働者が4週間を上限として取得することが出来る育休です。

2回に分けての分割取得もできるので、通常の育休とあわせて最大4回に分けて育休を取得することも出来ます。

4週間以上休業する場合は出生時育休を利用せず、通常の育休を利用することももちろん可能です。

 

改正2.出生時育児休業給付金の創設

施行:交付日(2021年6月9日)から1年6ヶ月を超えない範囲

こちらは出生時育休を取得した場合でも育休と同じように給与の約67%が受給できる給付金制度です。67%の給付率が適用される180日のうちに出生時育休の期間も含まれており、出生時育休のあとに育休を取得した場合通算して181日目から給付率が50%となります。

 

改正3. 育休の取得しやすい職場環境の整備

施行:2022(令和4)年4月1日

事業主・経営者は育休取得の申出をしやすい職場環境の整備や、制度の利用対象となる労働者へ個別周知を行うことが義務づけられます。

職場環境の整備内容としては、育休に関する相談窓口の設置や研修の実施などが求められます。労働者への個別周知は、出生時育休・育休等の制度説明と取得意向を確認することが求められます。

 

改正4. 有期契約労働者の取得要件緩和

施行:2022(令和4)年4月1日

これまで育休を取得する要件の1つに「有期契約労働者は引き続き雇用された期間が1年以上である」ことがありました。施行日以降はこの要件が撤廃され、育休取得出来る労働者の幅が更に広がります。また、介護休業も同様の要件がありましたがこちらも施行日以降撤廃されます。

 

出生時育休、出生時育休給付金の施行日はまだ決定されていないので注視しつつ、職場環境の整備や対象となり得る労働者の把握をしておくと施行後スムーズに対応できると思います。

 

最後まで読んで頂きありがとうございました。
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