個人事業主が法人化するメリットと注意点を解説

2022年05月05日 / 最終更新日 : 2022年04月04日

個人事業主の方にとっていつかは検討事項となるのが、法人化を行うかどうかとそのタイミングでしょう。今回は個人事業主が法人化するにあたってのメリットや考えておくべき注意点について解説していきます。


法人化とは

法人化とは、個人事業主が会社を設立して、その事業を引き継ぐことを言います。個人事業主と法人との大きな違いに、所得に対して課せられる税金の種類があります。個人事業主は所得税、法人は法人税を所得に応じて納めることになりますが、所得税には累進課税制度が採用されているのに対し、法人税は税率がほぼ一律であるため、事業の拡大を考えているのであれば、法人化を視野に入れたほうがよいと言えるでしょう。


法人化のメリット

続いて、個人事業主が法人化するメリット3点を解説します。

①節税対策になる

先述の通り、個人事業主と法人では、納める税金の種類が異なります。所得税の税率は累進課税制度に基づき5〜45%と、所得が多くなるほど高くなるのに対し、普通法人における法人税の税率は、利益が800万円以下では15%、それ以上になれば23.2%となります。つまり、個人事業主として利益を伸ばし、ある一定の利益を越えると、法人化した方が納める税金を少なくすることができるのです。具体的には、個人事業主としての利益(所得)が800〜900万円程度になったタイミングで、法人化を検討するとよいでしょう。

②社会的信用度が上がる

法人であれば、取引先や金融機関からの信用が高くなるメリットがあります。信用力が上がることで、事業の交渉を有利に進めることができたり、事業継続や発展のための資金融資も容易になります。また人材確保の面でも、法人化した方がより優秀な人材を採用できる可能性が高くなるでしょう。

③社会保険への加入

健康保険や厚生年金などの社会保険について、個人事業の場合は特定の業種で5名以上を雇用している場合を除き、加入義務はありません。一方で法人化すると、従業員の人数に関わらず必ず加入が必須となります。社会保険は国民健康保険や国民年金よりも高額ですが、その分保証も手厚く、老後に受け取れる金額が高くなる、というメリットがあります。また、社会保険に加入できる福利厚生を示せることで、確保できる人材の幅も広がることになります。


法人化のデメリット、注意点

法人化はメリットだけではなく、事前に知っておくべきデメリット、注意点もあります。ここではメリットと同じく3点ご紹介します。

①赤字でも税金の支払いがある

個人事業主の場合、経営が赤字になってしまった場合には所得税や住民税の負担は発生しません。対して、法人に課される住民法人税は、たとえ赤字経営の場合でも均等割り分は発生してしまいます。東京都内の小規模法人の場合には7万円ほどが目安となります。

②設立時に費用がかかる

会社を設立し、法人化するに際しては法人登記費用がかかります。株式会社の場合には20〜25万円、合同会社の場合にも10万円程度の費用が必要です。事前に資金の準備をしておきましょう。

③会計や事務手続きが増える

法人化すると、個人事業主で事業を行っていた時よりも会計処理や決算が複雑化するため、事務作業の負担が多くなります。事務のスタッフを雇用したり、税理士や公認会計士などに委託するためのコストなども念頭に入れておきましょう。


まとめ

法人化することで、事務手続きの負担や必要な経費が増えてしまうデメリットもありますが、事業が拡大するにつれて節税効果が大きくなる、という個人事業主にはないメリットがあります。事業を大きくしたいと考えている個人事業主の方は、タイミングを逃さず、法人化への準備を進めていくとよいでしょう。

 

最後まで読んで頂きありがとうございました。
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