労働保険とは?給付の種類や保険料率、納付申告手続きを解説

2023年11月05日 / 最終更新日 : 2023年10月10日

労働保険とは、労災保険と雇用保険の総称をいいます。労働保険料を申告・納付するには「年度更新」と呼ばれる手続を行う必要があります。本記事では、各保険料率や労働保険料の納付・申告について説明します。


労働保険とは

労働保険とは、「労災保険」と「雇用保険」とを総称した言葉です。それぞれの保険給付は別個に行われていますが、保険料の納付等については労働保険として一体で取り扱われます。労働保険料は、労働者(アルバイト・パート含む)を1人でも使用していれば、一部の事業を除き納付しなければなりません。



労災保険とは

労災保険では、事業場や通勤による負傷・傷病・死亡された場合に被災した労働者や遺族を保護するために必要な保険給付を行います。

■労災保険給付の種類(一部)

療養(補償)等給付 業務災害、複数業務要因災害または通勤災害による傷病により療養するときに給付
障害(補償)等年金・一時金 業務災害、複数業務要因災害または通勤災害による傷病が治癒(症状固定)した後に障害等級に該当する障害が残ったときに給付(等級第1級から第7級が年金、第8級から第14級が一時金)
葬祭給付 業務災害、複数業務要因災害または通勤災害による死亡した人の葬祭を行うときに給付



雇用保険とは

 雇用保険では、労働者が失業した場合の給付や介護・育児休業中の給付、再就職を促進するための必要な給付を行います。

■雇用保険給付の種類(一部)

基本手当(失業手当) 失業している日について支給
再就職手当 基本手当の支給日数を残したまま再就職した方に対して支給
一般教育訓練給付金 雇用保険被保険者期間要件を満たし厚生労働大臣の定める講座を修了した方に対して支給
育児休業給付金 育児休業を取得して要件を満たした方に対して支給
高年齢雇用継続基本給付金 60歳以上65歳未満で要件を満たした方に対して支給



労働保険料の内訳

 労働保険料は、労災保険料・雇用保険料と一般拠出金で構成されます。このうち、労災保険料と一般拠出金は企業が負担し、雇用保険料については企業と雇用保険被保険者(加入者)が負担します。

 一般の事業の場合、それぞれの保険料率は以下のようになっています。

会社負担分 被保険者負担分
労災保険料率 3/1000
雇用保険料率 9.5/1000 6/1000
一般拠出金 0.5/1000

 労災保険料率は事業の種類によって細かく定められており、雇用保険料率は一般の事業、農林水産・清酒製造の事業、建設の事業の3つにわかれています。一般拠出金は全事業共通です。

 それぞれの料率の詳細を確認したい方は下記URLを参考にしてみてください。

令和5年度の労災保険率について|厚生労働省

令和5年度雇用保険料率のご案内(PDF)|厚生労働省

一般拠出金とは(PDF)|厚生労働省



労働保険料の申告

 労働保険は年に1度、「年度更新」と呼ばれる手続を経て、労働保険料の申告と納付を行います。年度更新は前年の4月から本年3月までに支払った賃金を確定して、締切の7月10日までに申告します。

 労災保険料算出の基礎となる賃金はアルバイトパート関係なく全労働者に支払った賃金が対象となり、雇用保険料算出の基礎となる賃金は雇用保険の被保険者に支払った賃金が対象となります。

▲申告書のイメージ



労働保険料の納付

 労働保険料の納付は、口座振替・電子納付も可能ですが、金融機関の窓口でも行えます。労働局や労働基準監督署では、申告書の提出はできますが納付はできませんので注意しましょう。また、労働保険料の納付を怠った場合は年率8.7%の延滞金が徴収される場合があります。

 申告・納付期日最終日である7月10日は労働局・労働基準監督署・金融機関窓口が大変混雑するので、誤りなく確実に納付するためにも早めに賃金を集計・申告書作成をしておいたほうが良いでしょう。


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