資本金をいくらにするか、決算月をいつにするか (その1:資本金)

2020年12月08日 / 最終更新日 : 2020年12月05日

中小企業診断士の山田盛史です。
これから独立して法人を立ち上げる方、また個人事業主で法人成りをされる方にとって、少し判断に悩む事項として資本金をいくらにするか?そして決算月をいつにするか?ということがあげられます。

人によっては特に悩むこともなく決める方もいますし、あとから変更もできるため、それほど時間をかけて悩むこともないという考えもあるでしょう。
ただ、ある程度の考え方を理解しておくことが望ましいです。

そこで前半と後半の2回に分けて、株式会社における資本金の考え方、決算月の考え方について解説します。
前半となる今回は資本金の考え方についてです。


資本金をいくらにするか

資本金は現在の会社法上では最低金額というものがありません。
そのため、1円の資本金でも株式会社が設立できます。
しかし、1円の資本金だと赤字になるとすぐに債務超過になってしまいます。
また、銀行口座を開設できなかったり創業融資を受けにくいため現実的には1円の資本金という会社はほとんど無いと思います。
小額と言っても100万円程度は資本金として入れている中小企業者が多い印象です。

また、法人設立時の代表者の資力や他者からの信用度合い、事業内容によっても資本金の金額は変わってきます。
当社のようなコンサルティングサービスを行う場合は、初期投資はほとんど必要としませんので創業段階で多額の金額を必要とはしません。

逆に製造業など、製造機械の購入や開発費といった初期投資が必要となる事業においては資本金の金額も相当に必要になります。

そして代表者に資力があれば、ある程度の金額を資本金に入れられますが、資力がなければ最低限の金額しか入れないでしょう。
自身に資力がなくても、信用があれば他者からの出資を受けるなども可能になるので資本金の金額が相当に増えるといえます。

さらに、許認可を必要とするかどうかによっても、資本金の額は影響を受けます。
人材派遣業の許認可を受ける場合には資本金が2,000万円以上は必要という要件があります。

一般に資本金の金額が大きいほど、信用力があると対外的に見られますので、資本金額は信用の判断材料にされるといっても過言ではありません。


資本金によって変わるもの

では、資本金はいくらが良いのでしょうか。
また、どのように考えて行けばよいのでしょうか。
資本金の金額によって何が変わるかというと税金面に影響が出てきます。
資本金1,000万円以上と1億円超がボーダーラインになります。

①資本金1,000万円以上の場合

通常、新設の法人は設立後2期間は原則、消費税の納税を必要としない免税事業者となります。
ある期間の課税売上高が1,000万円以上になると消費税を納税する義務がある課税事業者になります。
課税されるタイミングは課税売上高が1,000万円を超えた期から翌々期からになります。
つまり、原則、設立から2期間は消費税の納税義務はありません。

※図は会計期間が1月~12月の法人を想定しています。

しかし、資本金が1,000万円以上になると免税事業者の要件から外れて、設立年度から消費税を払わなくてはならなくなります。

よって、消費税の面から考えると創業時の資本金は1,000万円未満の方が節税になります。

なお、会社の所得に関わらず発生する法人住民税の均等割の額も、資本金が1,000万円を超えると高くなることが多いため、やはり税務面では1,000万円未満が有利と言えます。



②資本金1億円超える場合

資本金が1億円以下の会社は、軽減税率が適用されたり、年800万円の交際費枠があるなど、税務面で優遇されています。
しかし、資本金が1億円を超えるとこれらの優遇は受けられなくなります。

一般にスモールビジネスと言われる中小企業にとっては資本金が1億円を超えるようなことはないので、意識する必要はありません。
しかし、スタートアップについてはエクイティでの資金調達を行う上で知識として知っておきたい事項だと思います。

上記を勘案すると許認可などで資本金要件が特になければ、創業段階では資本金は1,000万円未満が妥当だという事になります。

最後まで読んで頂きありがとうございました。
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