職能資格制度はもう古い?持続的な職能資格制度運用とは

2021年06月05日 / 最終更新日 : 2021年05月13日

職能資格制度とは

職能資格制度は第二次オイルショック以降、日本に普及した賃金管理制度の一つです。従業員が持つ業務遂行能力を指標として、指標毎の賃金等級を用意します。似た制度に、「職務等級制度」と「役割等級制度」が挙げられます。職務等級制度は、総務・営業といった職務(業務)毎の記述書を作成し、記述されている職務内容が遂行出来れば年齢・勤続年数関係なく同一の賃金が支給されます。

役割等級制度は、部長・係長といった役割毎に期待される行動や権限、賃金を設定した記述書を作成し、それに基づき賃金が支給されます。

職務等級制度や役割等級制度は従事する職務や役職毎にミッションを設けそれに応じた等級制度を適用するのに対し、職能資格制度は人や能力を見て等級制度を適用する点が対照的な制度だといえます。


職能資格制度のメリット

  • 従業員が安定した環境で長期勤続しやすい
  • ゼネラリストを育成しやすい

 

職能資格制度は業務遂行能力を賃金等級が定められています。この業務遂行能力は職務毎ではなく、全般的に会社が求める業務遂行能力が基準となります。そのため、一定期間勤続すれば自ずと会社が求める能力が成長していきます。

これは従業員にとっては、安心感を持って勤務しやすい環境といえますし、会社にとってもゼネラリストの育成に役立ち人事異動を考えやすくなります。

職能資格制度のデメリット

  • 能力の評価が難しく年功序列に陥りやすい
  • 事業継続に伴って人件費が高くなりがち

 

職務をまたいだ能力評価は難しく、一定期間勤続すればそれに応じて能力も上がっていく=賃金等級も上がるという結果として年功序列に陥りやすいデメリットがあります。

また、一度認められた業務遂行能力が低下することは考慮されていない場合がほとんどであり、会社が継続すればするほど人件費が高くなる傾向があります。


これからの職能資格制度運用

職能資格制度を長期的・持続的に運用するには、人事評価制度と併せた体制が必要でしょう。人事評価制度は、従業員の業務成果・業務過程・時には介護育児等の家庭事情を評価し、賃金・昇進・賞与・異動などの処遇を決定する制度です。職能資格制度も能力を見て賃金を決定するため、広義での人事評価制度の一つだといえるでしょう。

職能資格制度と人事評価制度を併せた体制として、具体的には次のような取り組みが考えられます。

  • 能力評価(職能資格制度)×業務成果評価(目標管理制度・業績評価)
    • 能力評価と業務成果により賃金等級を決定し、業務成果で賞与を決定する
  • 能力評価(職能資格制度)×業務過程評価(コンピテンシー評価)
    • 能力評価と業務過程により賃金等級を決定する
  • 能力評価(職能資格制度)×業務成果・業務過程評価(360度評価)
    • 能力評価と業務成果や業務過程で賃金等級や異動、育成方針を決定する

能力評価のみで賃金等級を決定するのではなく、業務成果や業務過程においての基準を設け、それらを複合的に評価して賃金等級を決定する方法が望ましいです。

成果主義もベンチャー企業を中心に浸透してきてはおりますが、まだまだ職能資格制度という名の年功序列式は根付いており、それが重荷となっている会社も多いと思います。いきなり処遇を変更することは出来ませんが、評価制度と組み合わせて持続的な賃金制度を検討してみてはいかがでしょうか。

最後まで読んで頂きありがとうございました。
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