経営管理VISA(ビザ)申請における事業の継続性とは-評価書(改善見通し書)面の必要性や中小企業診断士、公認会計士の役割を解説

2023年11月21日 / 最終更新日 : 2024年02月23日

事業の継続性における評価書は、企業や事業主が経営の安定性や将来の展望を評価し、その事業が持続的に成長し続けるための計画や戦略を示す文書です。経営管理VISA(ビザ)の取得では事業の適正性に加えて、事業の安定性や継続性が求められています。

中小企業診断士や公認会計士が事業の継続性について評価を行った書面(債務超過があることに対する第三者評価による改善見通し書)は、経営管理VISA(ビザ)申請時に事業の安定性・継続性を示す重要な資料となります。この記事では、事業の継続性における評価書の重要性と必要性に焦点を当て、必要となる要件や、なぜこの評価書が求められるのかを解説します。


 

経営管理VISA(ビザ)の事業の継続性の要件

出入国在留管理庁では、事業活動においては様々な要因で赤字決算となり得るところ、事業の継続性については今後の事業活動が確実に行われることが見込まれることが必要としています。
事業の継続性について、単年度の決算状況を重視するのではなく、貸借状況等も含めて総合的に判断することが必要であることから、直近二期の決算状況により次のとおり取り扱うこととしています。

(1)直近期又は直近期前期において売上総利益がある場合

a直近期末において欠損金がない場合、直近期において当期純利益があり同期末において剰余金がある場合には、事業の継続性に問題はありません。直近期末において剰余金がある場合又は剰余金も欠損金もない場合には事業の継続性があると認められています。

b直近期末において欠損金がある場合

(ア)直近期末において債務超過となっていない場合

事業計画、資金調達等の状況により、将来にわたって事業の継続が見込まれる可能性を考慮し、今後1年間の事業計画書及び予想収益を示した資料の提出を求めることとし、事業が行われていることに疑義があるなどの場合を除いて、原則として事業の継続性があると認めます。
ただし、当該資料の内容によっては中小企業診断士や公認会計士等の企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を有する第三者が評価を行った書面評(評価の根拠となる理由が記載されているものに限る)の提出を更に求める場合もあります。

(イ)直近期末において債務超過であるが、直近期前期末では債務超過となっていない場合

債務超過となった場合、一般的には企業としての信用力が低下し、事業の存続が危ぶまれる状況となっていることから、事業の継続性を認め難いものですが、債務超過が1年以上継続していない場合に限り、1年以内に具体的な改善(債務超過の状態でなくなることをいう)の見通しがあることを前提として事業の継続性を認めることとします。
具体的には、直近期末において債務超過ですが、直近期前期末では債務超過となっていない場合には、中小企業診断士や公認会計士等の企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を有する第三者が、改善の見通し(1年以内に債務超過の状態でなくなることの見通しを含む)について評価を行った書面(評価の根拠となる理由が記載されているものに限る)の提出を申請者に求めることとし、当該書面を参考として事業の継続性を判断することとします。

(ウ)直近期末及び直近期前期末ともに債務超過である場合

債務超過となって1年以上経過しても債務超過の状態でなくならなかったときは、事業の存続について厳しい財務状況が続いていること及び1年間での十分な改善がなされていないことから、原則として事業の継続性があるとは認められません。
ただし、新興企業(設立5年以内の国内非上場企業をいう。以下同じ)。が独自性のある技術やサービス、新しいビジネスモデル等に基づき事業を成長させようとする場合、設立当初は赤字が続くことも想定されます。そのため、新興企業については、以下の書類の提出を申請人に求めることとし、これら提出書類の内容を踏まえた結果、債務超過となっていることについて合理的な理由があると判断される場合には、事業の継続性について柔軟に判断することとします。

◯中小企業診断士や公認会計士等の企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を有する第三者が、改善の見通し(1年以内に債務超過の状態でなくなることの見通しを含む)について評価を行った書面(評価の根拠となる理由が記載されているものに限る)

◯投資家やベンチャーキャピタル、銀行等からの投融資、公的支援による補助金や助成金等による資金調達に取り組んでいることを示す書類

◯製品・サービスの開発や顧客基盤の拡大等に取り組んでいることを示す書類

(2)直近期及び直近期前期において共に売上総利益がない場合

企業の主たる業務において売上高が売上原価を下回るということは、通常の企業活動を行っているものとは認められず、仮に営業外損益、特別損益により利益を確保したとしても、それが本来の業務から生じているものではありません。単期に特別な事情から売上総利益がない場合があることも想定されるところ、二期連続して売上総利益がないということは当該企業が主たる業務を継続的に行える能力を有しているとは認められません。したがって、この場合には原則として事業の継続性があるとは認められません。


中小企業診断士や公認会計士が作成する評価書の役割

中小企業診断士や公認会計士は企業評価を行う能力を有すると認められる国家資格になります。このような資格を保有している第三者が作成する評価書は、専門的な知識と経験に基づいて事業の健全性を客観的に評価する書類と言えます。外部の専門家の意見は客観的で信頼性が高いため、このような評価書面が必要とされます。専門家の分析や助言は、事業者様自身が気づかないポイントや改善案等も提案し、事業計画のブラッシュアップや戦略の向上にも寄与します。


おわりに

ビザ申請時において事業の継続性を示す中小企業診断士や公認会計士が作成した事業の継続性における評価書面(債務超過があることに対する第三者評価による改善見通し書)は重要な書類となります。当社では中小企業診断士が作成した事業の継続性における評価書(債務超過があることに対する第三者評価による改善見通し書)の作成を行っております。まずは、お気軽にご相談ください。

 

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